日曜日。
イヴに実施された研修に向かう電車のなかで読了。
取り上げられた証言者は、
仲代達也
菅井きん
香川京子
三橋達也
山崎努
二木てるみ
頭師佳孝
松村達雄
井川比佐志
油井昌由樹
隆大介
原田美枝子
大寶智子
三船史郎
それぞれが黒澤明との出会い、
オーディションなどの採用されたときのエピソード、
プライベート、
撮影時の思い出などを披露している。
とくに菅井きん、香川京子、二木てるみなど脇役として参加した俳優たちの証言は興味深い。
彼ら俳優たちに監督がどう接して来たか、
どうアドバイスをしたのか、
また、意外なところでは例えば『影武者』で大滝秀治が演じた山縣昌景役は松村達雄に打診されていたなどの裏話も明かされている。
『乱』で楓の方を演じた原田美枝子は『蜘蛛の巣城』の山田五十鈴を意識していたという。
なるほど二作を比べたことはこれまでなかった。
けれど、役柄の比較対象としても、また二十代前半の新人女優が乗り越えるべき巨大な壁・お手本として心に秘めるべき対象としても、『蜘蛛の巣城』の四十代の山田五十鈴を意識するのは正しく、また自身に厳しい。
ついでに覚え書きとして。
山崎努の証言。
『つまり、下手くそだと必ず楽なところから自分の声って出ますから、頭の出だしの音がみんな揃っちゃうんです。』
これ、重要です。
役者だけでなくプレゼンテーションや雑談でも同じ。
退屈な話は、その内容や構成はもとよりまず音が単調なのよね。
たとえば巻末に取り上げられている三船史郎は彼自身役者ではないと証言しているけれど、まさに『雨あがる』の彼の演技はそれだった。
ただしそれをわかったうえでその武骨さ、ぶっきらぼうさがあの殿様にふさわしいとして配役したのだろうけれど。
もうひとつ、
同じ山崎の証言から。
『整合性があった上で整合しない部分を置いていくというのが役作りの上では大事なことなんですけど、整合性ばかリでやると説明的な役になっちゃう。』
小説や漫画などのキャラクターにも云えることですな。
以上、
黒澤明ファンはむろんのこと映画ファンにとっても楽しめる一冊だと思う。
インタビュー集だから、ほいほい読めました。
☾☀闇生☆☽