壁の言の葉

unlucky hero your key


 自転車通勤の道すがら、
 不意の土砂降りにやられて合羽をまとう。
 びしょぬれの道は、
 おりしもメーデーの大行進が、のしてゆくところで。
 曰く、
 原発反対。
 曰く、
 最低賃金を引き上げよ。
 曰く、
 貧困をなくせ。
 曰く、
 基地を撤廃せよ。
 曰く、
 なんたらかんたら。
 どれもシリアスな問題ではある。
 けれど、
 これだけ要求が多岐にわたると、どこに対してのものなのかわからんし。
 少なくともこれだけは言える。あたくし程度のオツムには、覚えられんと。
 たとえ記憶できたとして、怒りの矛先が拡散されて、腰くだけではないのかね。
 会社帰りの赤ちょうちんでくだまいてるおっさんと、あんま変わらない。
 仮にもデモ行進だぞ。
 あれもこれもと欲張り過ぎはいかんよ。
 戦線を広げ過ぎるとにっちもさっちもいかないのは先の大戦で学んだだろうに。
 いや、それ以下だ。 
 ひとつとして解決には至らないし。
 解決しようとすらしていない。
 所詮、二股、三股である。
 総理に扮して声高に現政権を批判してもいたが。
 彼らも政権をとるまでは、そんな威勢のいいことをのたまっていたっけなあ。
 

 して、この手の催し物の常なのだが、
 行列の後方は世間話しがてらのおだやかな道行きといった観であって。
 交差点の信号で行列が切られて「あはは、あいつ切られちゃったよ」なんつってました。
 際立つのは、その前後左右を整理する警官の緊張感ばかりだ。




 

 ちゃんとやれ。ニッポン。







 ☾☀闇生☆☽