あのな、
居場所なんてものは探すものじゃないんだよ。
作るものだ。
なんて強がってみせる元気も、今はない。
ともかくも此処にいるのは事実であるからして、
んで、
なんであれ他人に強制されてのことではないのだから。
くそったれ。
と人知れず嗤い、
そいつをそっとマスクのなかで笑顔にすりかえて、
折り合いをつけていくほかはあるまいて。
フツーにあぶねーやつじゃねーか。
いつだって、いま居る場所が居場所なのだ。
ひとまずは、
わずかでも未来側にある、身近でささやかな愉しみを鼻の先のニンジンとしようか。
そうしよう。
そいつを目指して、ひたすら馬か鹿のごとくにゆけばいい。
なにがいいんだかさっぱりなのだが。
もはや考える気力もないのだし。
そもそも馬や鹿は考えないものなのだ。
たとえばそう、細野さんの特集が某国営テレビ局であるのだった。
これは観なければ後悔するに違いないのだった。
HUNTER×HUNTERの新刊が出るのだった。
いい歳ぶっこいて今更ジャンプもないのだった。
んが、
もはや愛も憎も摩滅させるほどに待ち焦がれた、いわば腐れ縁ではあるわけで、これもまたちっちゃなニンジンだろう。だった。
アメリカのプロレスラー、ランディ・サベージが亡くなった。
プロレスには詳しくないし、
とりたてるほど好きでもないのだが、
幼いころから贔屓のヒーローを持たなかった闇生としては、
サベージが居たころのWWFこそが、さながらそんな夢世界であり。
といっても知ったのは成人後ではあるのだが。
言ってみりゃスパイダーマンやバットマンを大人が愉しむようなもので、
サーカスの延長線上にあるエンターテイメントとして、光っていたわけ。
型(カタ)が、きちんとあったのね。
サベージには。
正義側(ベビーフェイス)を演じるときも、
悪役側(ヒール)をやるときも、
どこか小ずるくて、
うまくて、
キレると汚くて、
煽りのポーズも、
ちょっとした振り向くときの肩の怒らせかたも、
敵を指差すときの小指の感じとか。
型になってんだ。
登場曲があれだもの。『威風堂々』だもの。
イントロでもう鳥肌よ。
むろんWWFの脚本も痛快でね。
恋仲の美人マネージャー(エリザベス)がついていて。
彼女を盟友ハルク・ホーガンに奪われてヒールに転落。
でホーガンとの敵対関係が続き。
時を経て、
ピンチのサベージを、客席からあらわれたエリザベスが助けて仲直り。
やがて、結婚と。
そういう大河ドラマのような筋書きを、数ヶ月またぎでやるんだから、たいしたものでしょ。
決め技の直前、
トップロープで直立して両手で天を指すあのポーズ。
フラッシュを浴び、
観客層立ちのなか敵選手めがけてダイヴするその飛行姿勢。
WWF時代の彼は、ホントかっこよかったなあ。
☾☀闇生☆☽