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『天使と悪魔』感想。

 ダン・ブラウン原作、ロン・ハワード監督作『天使と悪魔』DVDにて。


 トム・ハンクスユアン・マクレガー主演。
 キリスト教にまつわる謎解きサスペンス。
 今回の舞台はヴァチカン。
 次なる法王の有力候補とされる4人の司教が誘拐される。
 法王の座をめぐるコンクラーベが展開されるなか、ひとりずつ「見立て」の儀式で司教を殺害していく犯人。
 科学と宗教が織りなしてきた歴史的な対立関係をふりかえりつつ、見立ての謎を解き、司教探索に奔走する主人公。


 前作『ダヴィンチ・コード』は謎を解くほどにイエスの人間性に接近する仕組みとなっていた。
 いわばダヴィンチ・コード的イエス像が、立ち上がってきた。
 んが、
 今回のは「見立て」の連続殺人ものに終始した感がある。
 謎がとけるたびに犯人に接近はしていくものの、そこに知的興奮の要素は少ないと感じた。
 なぜなら、それらの答えが作品のなかで観客既知の情報にされていないのである。
 答えが新しい知識となって「ふうん」と納得はする。
 んが、既知の情報とぴたりと照合されて「なるほどー」という興奮には至らないのね。
 謎解きものの醍醐味はこの「なるほどー」が不可欠なのよ。
 この「なるほどー」でご満悦になれる。
 そのために前ふりや布石というものがあり……。
 そのうえでのどんでん返しであったり……。


 そうなるとダイハード的な映画のスタイルとあまり変わらないよーな。
 むろんダイハードだって布石はこまやかにちゃんと仕掛けられてはいるのだけれど。
 「まさかあいつが」という単なる黒幕探しの謎解きや布石なんぞ、題材の宗教を前にしてはどうということもない。
 どうとでもできる。
 実はコイツでしたー。
 はあ、そうですか。である。
 展開につぐ展開であきさせないようには作られているが、そういうところに浅さを感じた。


 いやそれならそれで、ちゃんとダイハードしてほしかったんですけどね。 


 長大な歴史をもつ宗教が新参者の科学を弾圧してきたかに思える関係。
 しかし実際のところは、闇雲に駆けだそうとする子供を、そのたびに老人が叱ってきた歴史にすぎないのではなかったかという解釈。
 つまり「こらっ。廊下は走っちゃいかんぞ。あわてることは何もないのじゃ。落ち着いて歩きなさい」と躾けようとする大人と、言われれば言われるほど走らずにはおられない反抗期の子供の関係。
 漸進的にしろ急進的にしろ、どちらも進もうとしていることは同じ。
 それはそのまま保守派と革新派の関係性にも通ずるので……。 



 これ見よがしなセクシー美女も、お色気シーンもなしでやり遂げたのはいさぎよかったのかな。
 大量破壊兵器として犯人にもてあそばれる反物質なんたら、というのは、どうなの?
 あれはこの映画ならではのSF?




 138分。
 毎度のことながら、DVD冒頭のリリース予告。
 邦画はたいがいさぶいよね。




 追記。
 あそうか。
 七つの大罪を模した連続殺人をあつかった『セブン』。
 あれも宗教そのものは直接的には掘り下げなかった。
 そのかわり犯人のカルト的魅力と、新米とベテランふたりの刑事の人間性が立っていた。
 そこいくとこの『天使と悪魔』のシリーズは、主人公が立っていないのだな。
 家庭関係やら、生い立ち、性格などもあまり重視されていない。
 犯人も同様にクセがなく、ねじれた影も無く、ようするに魅力が薄かった。
 
 











 ☾☀闇生★☽