あたしがその人を尊敬していると知って故意に、その人をネタに嘲笑する人がいる。
でも、だからこそあの人は不幸になりようがないんですよ。
ひとしきり笑いが起こったあと、ここぞとばかりにそうのたまっておく。
他人の悪口を決して言わず。
妬まず、うらやまず。
どこにでも愉しみを見出して。
それこそ道端の石ころからさえも何かしら発見したり。
おどろいたり。
自分の知らない知識をもっている人の話を聞くことを、この上ないよろこびとする。
病気になってさえ、その病気や治療法の知識をむさぼっては、どこか感動している風情があるのだ。
おそらくは片足を失ってさえも、あてがわれた義足の構造に感動して、夢中でそれを説明してくれるに違いない。
で、迷惑をかけないかぎり自分がどう思われようが知ったこっちゃないんだな。
そんな人が不幸になるわけがない。
不幸であってはならない。
にしても、いるよね。
人が敬意を抱く対象を、その人のまえでけなさずにはおられない人たち。
相対化したいのだろうれど、どこにでもいる。
おそらくはあたしも無自覚にやらかしているのに違いない。
いや、やってるな。きっと。
で、
だからこそ、それをしないその人を尊敬するのだよ。
☾☀闇生★☽