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ポジション。


 夜勤帰りの朝六時。
 センターラインがないけど両通ではあるといった道幅のど真ん中。
 原チャリToday-F号で通りかかると、もふもふしたかたまりがそこにうずくまっている。
 ゴミ?
 と思いつつ、避けつつ、通り過ぎつつ、視認す。
 猫じゃねーかよっ。
 行きすぎて停車。
 振り返るがソレは動かない。
 轢かれたちまったの?
 にしてもそんなところに置きっぱなしになってたら、通勤でいきかう車両にのされてしまうじゃんか。
 そう思って引き返した。
 動かない。
 道をふさぐようにバイクをとめて、歩み寄る。
 ん?
 とこちらを振り返るグレーの猫。
 ほれっ、追っ払う素振りをしてみたが、そこをどこうともしない。
 意識はあるが、動けないのか?
 と手を差し伸べる。
 んが、やはり動かない。
 手をそえる。
 んが、拒んでおずおずとうずくまるのみ。
 で、じっとこちらを見上げるだけである。
 通りすがりの軽ワンボックスが我がToday-F号に行く手を阻まれて停車。
 猫に気付いた女性ドライバーが露骨に眉をしかめる。
 轢かれたのを片付けている最中と思ったのだろう。
 で、あたしがその轢いちまった張本人だと思ったのだろう。
 意を決して抱き上げようとした。
 すると、その腹の下からぼたぼたと血が流れて……、といった光景を想像していたが、なんともない。
 ふくよかなぼてっ腹がぬくぬくとしているのみ。
 んにゃ。
 とひと声あげて駆け去っていってしまった。
 

 は?


 安心して走り去る軽ワンボックス。
 なにゆえお前はそこにいたの?
 この寒いなか。
 アスファルトの道の真ん中があったかいはずはなかろうに。
 あわよくばあたしがひいてしまうところではなかったか。
 勘弁してくれよ。
 と思ったが、道路なんて、ニンゲンさまのご都合でつくったもので猫のしったこっちゃないのだ。
 道とは言え、交通の途絶えた未明ならなおのこと、居たいところがわたしの場所なのだ。
 

 気をつけろよ。
 と逝ったところで「お前らこそな」と返されるのがオチだろうて。






 んじゃ、今夜も夜勤に。



 ☾☀闇生☆☽