壁の言の葉 

unlucky hero your key

日々。20250731

 通勤がてらに給油。
 スタンドが混んでいたのでただちに離れ、歩道に乗り上げて停める。
 給油タンクにケミカル剤を注入す。
 ワコーズのフューエル1
 ガソリンタンク内のカーボン汚れなどを洗浄してくれるものとして有名で、ロングセラーだが、この手のケミカルにはアンチ派も根強い。
 どうだろう。ほんとによろしくないのだろうか。


 そもそもワコーズ製品は市販を目的として作られていないと聞く。
 それらは薬品で云うところの医薬品にあたり、ドラッグストアなどで素人が簡単に手にすることができる医薬部外品とはモノが違うのとおなじ理屈なのであーる、とはとあるバイク系有名Youtuberの弁。
 それがゆえに使用法および注意書きをきちんと読むべきなのだと。
 アンチ派はおそらくこれを重視していないのではないのか、と彼は云う。


 すまぬ。受け売りでござる。


 たしかに、かつてキャノピー乗りの後輩に同製品をすすめたことがあって。
 さっそく使ってみたところエンジンがかからなくなった。
 バイク屋に持ち込んだところ、そこのオヤジにこっぴどく説教されたといふ。
 曰く「タンクにガソリン以外のものを入れるな」とな。
 はたしてそんな物騒なシロモノなのだろうか。
 だとすればそもそも製品化され市販されてもいないだろうに。
 ロングセラーにもなっていないだろうに。
 訊けば、後輩は説明書をろくに読まずに一本まるごとタンクに投入したという。
 なんと無謀な……。
 使用量は満タンに対してのその1%を超えないようにと朱書きしてあるというのに。

 
 しかしながら我が手元のフューエル1
 購入したのはかつて乗っていたToday-f 50cc時代。
 早5年以上は経つぞと。
 開封後の消費期限があるのかどうかついにわからなかったが、ええいままよと使用してみた次第。
 なんせ決してお安いシロモノではないわけでして。

 
 タンク容量は公式に依れば我がクロスカブ110(JA45)は4.3ℓとのこと。
 ところがですな、実際に計測してみせた奇特なお方がおられまして。
 実際はそこまで無いらしいという……。

 
www.cross-ja45.com


 まあ、素人のあたくしとしましては、身の程をわきまえて少なめに見積もろうと。 
 総量の1%を超えないように、との但し書きなのでこの度は余裕をもって30ccをばお軽量カップをもって投入させて頂いた次第でござりますと。


 
 さて、快調に飛ばして現場へ。
 この日は蔵前から開始。
 地下鉄出口付近で、キャバクラの呼び込みさんが複数人立っている賑やかな歩道だ。
 我々は注目を浴びた。
 入れ代わり立ち代わりに黒服のお兄さんたちが工事内容の説明を求めてくる。
 といって彼らはみな好意的。ありがたし。


 目の前のビルの一階。ドアが開き放たれて地下への狭い階段が見えている。表には赤いネオンで『Bar』。
 良さげだ。
 壁には風化した意匠の板壁が貼られており、そこに巨大なジャック・ダニエルのボトルが白ペンキで描かれてある。
 米国の田舎町の片隅にあるスタンド・バー的なコンセプトだろう。
 スタンド看板に掲示されたMenu内容がシンプルで好印象を抱いた。
 店の片隅にはピンボールマシーンでも備えていそうな雰囲気である。(たぶん無いと思ふ。あの階段の狭さではピンボールマシーンは搬入できない。)
 高級感やメニューの豊富さを謳っていないあたり、仕事帰りにちょいといっぱいひっかけてもらうか、普段使いのバーというのが狙いなのかもしれない。
 敷居が低い。
 通いやすい。
 よさそうじゃあーりませんか。
 ただし、漏れ聞こえてくる音楽は自分の好みではなかった。
 軽薄なポップスが聞き取れた。
 この店の雰囲気ならばモダンJazzに統一するか、あるいは古き良き米国を振り返る意味で’80s~’90sの洋楽ポップスが似合いそうである。


 しかしまあ、仕事じゃなければ覗いてみたいところなのだがあ…。





 作業を終えて現場を移動。
 あたしゃクロスカブで先方さんのおケツを追う形。
 この日も少し距離があって次は新橋へ。
 全部で四か所ある。


 この日応援に来てくれた先輩のKさんは普段は日勤シフト。
 欠員のため無理やり夜勤に連れ戻されたらしいが、終始ご機嫌だった。
 というのもすぐ近くの日本橋で同棲相手のHさんが仲の良い同僚らと現場をやりくりしている。休憩のたびに連絡を取り合っているようだった。
 ちなみにKさんもHさんも共におっさん。フォルムは丸い。


 台風が近づいている。
 夜半をすぎたころ、風が出てきた。
 上空で街路樹の梢が揉まれている。


 日中、アパートと隣家の隙間に三毛猫が寝そべっていた。
 新顔だ。 
 もふっとして毛並みがよく、飢えてはいない模様。
 傍を通りすぎても起き上がらず、貌だけをこちらに向けていた。
 その丸い目でこのあたしの人とナリを見定めているのに違いない。
 すまん。
 こんなあたしですまん、と念ず。
 すぐに逃げないあたり、人に慣れているのか。あるいはこちらをどこかで見おぼえているのか。
 ふっくらとしていて、もしかすると妊娠しているのではと思った。
 そういえば最近、古顔の黒猫を見ないな、などと思い出した。


 事は順調に運んで現場は終了。
 おひらき。
 この日も松屋&マイカレー食堂店で野菜たっぷりのカツカレーをば。
 トッピングにハンバーグをつけた。
 当然、持ち帰りも考えた。
 けれど、おそらくそうすればこのアホはそれをツマミにまた呑み始めてしまうことだろう。
 なので店内で食すことに。
 なおかつトッピングもつけて腹いっぱいにしてしまえば、帰宅後はすぐに眠くなるだろうと企んだのだ。


 そうすれば呑まずに済む。

 
 未明の松屋
 がらんとして、ひとり。 


 ほんとに吞みたいのか?
 それはおいしさを実感できる酒か?
 早く眠りたい。忘れたい。気を失いたいだけではないのか?
 そう自問しながら家路につく。




《追伸》
 熱中症で倒れた隊員がいたという。
 日勤の出勤時間を過ぎても出てこない。
 連絡もとれない。
 内勤が家を訊ねてみたが応答がない。
 この仕事、ひとりもんが多いので人知れず孤独死というパターンも珍しくない。
 内勤は緊急連絡先として届け出にあった親類に連絡して合鍵で入室してみたそうな。 
 案の定、倒れていたと。
 二十代である。
 救急搬送をして事なきを得たが、内勤の行動が遅ければもしやもあっただろうに。


 年齢も、屋内・屋外も、労働の軽重の差も関係ない模様。
 死神が狙うのは、弱って群れからはぐれかけた奴からだ。
 皆様、お気をつけて。
 まずは体調管理を。
 


 ☾☀闇生☆☽
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