ここへきてようやく防寒着が支給とあいなった。
何を隠そう、ダブルワークのケービのバイトのことであーる。
これにて寒さ対策は便宜上、万全というべきだろうか。
これ以上は中に密かに着込んでやりくりするほかないだろう。
それはいいが、問題は移動の荷物がばかでかいということだ。
とどのつまりが、あれだ。
こんなので出勤だなんて、まさに馬鹿っぽい。というでかさなのだ。
チョモランマでも目指すのかと。
とてもじゃないが、これで通勤電車に押し入っていくズ太さまでは闇生は持ち合わせていないし、またそうありたいとも思うわけで。
よって各駅停車の、それももっとも空いている最後尾か先頭車両を狙って、遠慮がちに、ごめんなさいのココロで混ぜてもらっていくわけなのだが。それはそれでうっかり女性専用車に乗り込んだりもするわけで。
一言でいえば、肩身が狭いと。
では、先輩たちはどうしているのかというと、これがみなさんタフでね。
大概がバイクか自転車なのだ。
一時間くらいかけて出勤してくる人なんざ、あったりまえよ。
現場への交通費がでないものだから、当然といえば当然なのかもしれないが。
にしても、恐れ入るではないの。
かく云うあたしも、ゆくゆくはそうしようと考えている次第。
なんせ馬鹿っぽいのに馬鹿になんないのよ。交通費。
といっても我が愛しきママチャリは、長年の雨ざらしのせいで哀しきサビチャリと化しており。
ならばと、いっそこのわび住まいに収納できるような折りたたみ式の購入をば、目論んでおるわけ。
しかしながら、品がよくて軽いやつは、高いのだなあ。
むろん、埃だらけの現場のすみっこに転がしておくわけであるからして、おされでなくともいいのだが。
それでも、やっぱそこそこはする。
少なくとも今のあたくしの財政状況からすればのハナシなのだが。
さてと、
ここのところ同じ現場が続いている。
当然、現場によって、それを受け持つ建築・土木会社が異なるわけで。
同じチームとしてケービ士を労わってくれるところもあれば、ぞんざいにアゴで使いまわすところもあったりして。
つまりは、いろいろだ。
それはそれで興味深いのだが。
やはり我々もニンゲンでございますから。
「二度とこねえよ、こんな現場」
口をそろえて、ついそんな言葉を密かに吐きつけてしまうところもあるのだ。
そのすれ違いの原因の多くが、実は忙しさにはない。
意思の疎通にあると思うのだな。あたしなんかは。
たとえば、作業帯のなかからトラックを出すのか、方向をかえて入れ直すのか、なにも伝えずに作業員がトラックにのる。
うちらはバリケードを解除して交通を止め、誘導に入るのだが、トラックをどっちに出したいのかがわからない。
どうしたいのよ。
で、唐突に怒鳴られる。
「どけよっ」
ああ、こっちに来たいのねと。
また来たいなあ。
そう言われたい。
てか、言いたい。
リピーターというのは仕事でも、商売でも、小説や映画でも、人間関係でも、ある意味目標といえるのではないでしょうか。
そうありたいものです。
☾☀闇生☆☽。
……。