かつてここでも取り上げたレコード・コレクター、ジョー・バザード氏が亡くなられたそうだ。
彼の自宅の地下室は、城だろう。
それも城主ひとりだけが独占、独裁する子供の城だ。
そっくりそのまま保存を。
おそらくそんな声があがるのではなかろうか。
米国音楽史にとっての貴重な資料の山である。
誰にも介入されない趣味の部屋を持つというのは、男の夢だ。
心の少年を匿おうとする行為だ。
当人からすればそこは宝の山だが、興味のない人にしてみればただのゴミ。
しかしまあ、それにしてもここまで突き抜けると凄みを感じませんか?
この人にとっては古い音楽にこそ真実があり、よろこびがあり、価値の基準がある。
さながら帰依するように、付き従う。
ゆえに五十年代以降の音楽には歯牙にもかけぬし、ばかりか口汚く罵るありさまだ。
身内や周囲は迷惑をこうむっただろう。
当人は嫌われ者、変人の誹りもうけてきたに違いない。
けれど、それを通すのだな。自身を独裁する少年は。
ここまで通せば文句はない。
あっぱれ。
あっぱれ。
少年万歳!
あの世で伝説のミュージシャンたちのライヴを堪能しているのにちがいない。
ご冥福を。
☾★闇生☀☽