八巻目。
副題『オークション開催!!』
天空闘技場でヒソカに負けたものの乾坤一擲、顔面に一発かましてワッペンを突っ返したゴン。
キルアをともなってクジラ島に帰郷。
キツネグマの森でキルアから「俺にはやりたいことがない」と打ち明けられます。
ならば、とゴンは引きつづき一緒に旅をすることを提案。
ゴンは親父を探す旅。
キルアはやりたいことを探す旅。
どちらもいわゆる自分探しには違いないのです。
んが、
ゴンの場合はルーツ(根っこ)を求めることが少なくとも建前ではあり。
一方、キルアはといえば、現代人の共感すべきところでしょうか。
「やりたいことで生きる」
「誰にでもやりたいことがあるはずだ」
などと社会的風潮というやつは、とかく若者に「やりたいことがあること」を強いてくるのですが、ほんとうのところ若いうちからそんなことが明確につかめる人なんてほんのほんの一部ではないでしょうか。
なんせ、若者は特に社会も世界もほぼほぼ未体験なのですから、選択肢すらあまりに膨大すぎて見えていない。
レストランで何が食べたいかの選択はメニューをひと通り見渡してから選択したいじゃーありませんか。
食べてないものは食べてから決めたいじゃありませんか。
しかし、ざっと見渡すには世界はあまりに広大で、
身の丈はあまりに矮小で、
それにたいして人生はあまりに有限で、
ましてや若さは刹那であって。
読み切れないほどの膨大なメニューを、あたしたちゃあえて自由と呼んでいるのに過ぎないわけで。
自由テーマ。というやつほど厄介なものはありません。
それはたかだか自前で制約(ルール)をもうけろという意味にすぎないのですが、どうしてもルールから逸れることを自由と認識しがちです。
キルアは賢いので、友だちゴンの父親さがしに付き合う、というテーマを自らに課します。
おそらくキルアは猪突猛進なゴンを「守るべきもの」として意識し始めている。
ゴンの母代わりのミトおばさん。
彼女はゴンの父ジンの従兄(いとこ)。
ここでミトおばさんによるジンの回想が始まります。
十二歳でハンター試験合格。
「ほしいものがある」と言い残してジンはくじら島を出奔。
まもなくしてジンの父も、漁から帰らなくなる。
この父(つまりゴンの祖父)というのは時系列的に考えて、のちに暗黒大陸編に登場すると推測されるドンではないと思われ。
いや、もしくは暗黒大陸でとれるとされる長寿食ニトロ米があれば、どうでしょう。
無理があるかな……。
十年後、ジンは赤ん坊のゴンを抱いて帰郷。
母親は不明。
しかしこれも、生物学的な父子関係ではない可能性もなくはないですな。
ともあれ、
ジンは「ゴンがハンターになったら」という条件でミトおばさんにゴンへの贈り物を託して島を去る。
これがゲーム『グリード・アイランド』のメモリーカードとゲーム内で必要になる指輪とジンの肉声メッセージが収録されたカセットテープ。
つまり、ジンは二十二歳であのゲームをレイザーなどの仲間たちと完成させたということになるわけね。
むろん日々アップデートや改良・改善されてきたのでしょうけれど。
で、現在のゴンて何歳だっけ?
たしか十二歳くらいだと……。
発売して十二年経ってもいまだにクリアした者がいないという……。それでいてマニアがオークションで高額で競り合うほどの人気。
カセットテープ。
再生するとジンからの肉声メッセージだ。
俺を捕まえてみろ。
そのメッセージのあいだ、画面は巨大な謎の怪鳥、の頭上にすわる不思議な生物、のそのまた頭上にすわる男の絵。
三者が例の「ボ」で意思疎通するコマ。
俺は現在もどこかで馬鹿やってる、と。
この流れでいくとこの「ボ」が現在のジンと解釈されますが、これもどうでしょう。
だいたいこの場所は、暗黒大陸であるとも思えますが、違うともいえる。
仮に暗黒大陸であるならば、この男はジンではない。
ならばドン=フリークスなのか。
数百年前に発行された幻書『新世界紀行』の著者なのか。
そのコマにジンの独白を重ねるということは、これがジンなのか。あるいはジンの「やりたいこと」としてドン探しを表しているのか。
実はドンからジンに「俺を捕まえてみろ」というお題があったのか。
いずれにしてもゴンの母親についての真相は、カセットテープに込められた念の作用によって謎のままとなります。
そのころクラピカは。
修行で念能力を身につけてやっと斡旋屋『千耳会』の紹介を得ます。
ノストラードファミリーの門を叩くことに。
ノストラードは人体収集のコレクションのためにボディガードの求人を出しており。
クラピカはそこに同胞たちの緋の眼の奪還につながる情報を期待したのですな。
おなじく求人に応募したバショウ、センリツ、ヴェーゼ、スクワラ初登場。
新人試しの戦闘開始でクラピカ念能力初披露。
まずは薬指。
『導く薬指の鎖(ダウジングチェーン)』。
ジンからの贈り物。
ゴン・キルアはメモリーカードのデータからそのゲームが『グリードアイランド』というハンター専用ゲームであることを知る。
販売個数わずか100で現在絶版。再生産の予定はなく価格は58億ジェニー。
キルアはオタク文化に精通している兄ミルキに協力をもとめる。
んが、
そのミルキでさえ入手できずに手をこまねいているという激レアゲームであった。
ハンターサイトで検索をかけると、
ヨークシンという都市で開催される地下オークションに7本が競売申請を予定されているという。
最低落札価格89億ジェニー。
ここでゴン・キルアの目的は、『グリードアイランド』を落札するための軍資金集め。
まずは巷のオークションからこつこつと始めて一攫千金を目論むのだが……。
ヨークシンの市で強力な助っ人レオリオと再会します。
そのころクラピカ。
バショウ、センリツ、ヴェーゼらとともにめでたくノストラード・ファミリーの護衛団入り。
他の団員としてトチーノ(モラウのディープパープルのような傭兵を具現化して操作する能力)、イワレンコフ、スクワラ(犬を使う。ヴェーゼの能力で奴隷にされた哀しき奴)、リンセン(はるかのちにクラピカの手下となるスクエニの桜井さん似)。
護衛団リーダーはダルツォルネ。
で守るべきボスはというとファミリーのドンではなくその愛娘のネオンであった。
ネオンは『天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)』という必ず当たる予知能力を使う。
その父ノストラードのドンはネオンのこの能力を利用してのし上がってきたという。
この大規模なオークションに出品されるお宝を目当てに幻影旅団も、集結。
ミルキ。
キルアとの取引で手にした『グリードアイランド』のメモリーカードのコピーデータからゲームの再現を試みるが、失敗。
現物を入手しようとオークションへ。
その軍資金を親父(シルバ)に借りる。
その条件が「15人殺るから150億ほど貸してくれ」。
いったいミルキの戦闘能力は、どういうものなのか。
引き籠っていただけの彼も念を使うのだろうか。
ゴン・キルア・レオリオ。
賞品にダイヤをかけて腕相撲大会を街なかで開催。地道に稼ぎます。
そこに偶然通りかかった旅団。団員のシズクが賞品に興味を示して、ゴンと腕相撲対決に。
辛くもゴンの勝利。
クラピカ。
センリツとお互いの身の上話。
センリツがハンターとして探しているのは魔王が作曲したといわれる独奏曲「闇のソナタ」。
ピアノ、バイオリン、フルート、ハープのための四つがあるとされ、人間が聴いたり演奏すると恐ろしい災いがおこる。
センリツはフルートのための「闇のソナタ」をたった一章聞いただけで、肉体の一部を蝕まれた。
演奏した友人は全身を蝕まれて死亡。
センリツは、この恐ろしい曲をこの世から消すために探しているのだという。
魔王?
これも暗黒大陸産なのでしょうかね。
そして開催される地下競売。
マフィアの幹部たちが直々に参加するその会場を幻影旅団が急襲。
壇上から参加者たちに無差別に放たれるフランクリンの念弾『俺の両手は機関銃(ダブルマシンガン)』。
護衛団トチーノは念能力『縁の下の11人(イレブンブラックチルドレン)』で対抗しようとするが、あっけなく死亡。
逃げたイワンコレフ、ヴェーゼもシズクのデメちゃんの一撃で死亡とあいなりました。
闇生