3巻目。
決着
トリックタワー編。
長期受刑者チームとの時間をかけた戦いが続いている。
チームの行動は多数決ルールを強いられていて。
多数決制度(民主主義)への懐疑は、このあともシリーズのなかで幾度も現れますな。
先のドキドキ二択ゲームもそうでした。
ハンター会長選挙もそう。
さて、バトルだ。
蜘蛛(幻影旅団)を騙るマジタニvsクラピカ戦。
自らの性別を賭けにしたレルートvsレオリオ戦。
みんな大好き解体屋ジョネスvsキルア戦など、名勝負が目白押しだ。
一方、ヒソカはといえば、昨年の恨みを晴らすために待ち伏せていた無限四刀流の使い手で元試験官の、……ひと。
名前がわかりません。
天才肌のヒソカは凡人の無駄な努力を軽蔑しています。
この性格は記憶しておいてよいでしょう。
彼は才能ある強者にのみ強くひかれます。
んが、
それ以上にノビシロのある者に惹かれるようです。
そしてノビシロを感じられないひとが不快なのです。
そういえばこのずっと先の話ですが、ヒソカはナニカには興味なさそうでしたね。
つーことは、能力も戦闘に特化したもののみに興味があるのでしょう。
好みの標的は戦闘タイプ。
センリツなどは眼中にない。
ならばこそ、逆にヒソカに弱点があるならば、この手の非戦闘タイプではないかと期待しちゃいます。
センリツがヒソカをBW号の船内で翻弄するなんて、わくわくするじゃありませんか。
あるいは、本編では省略されてしまいましたがコルトピ戦。
ヒソカのことですから不意打ちはしなかったろうと思うのです。
戦いを楽しむ癖があるので、なんらかのやり取りはあったはず。
コルトピは巨大団地を具現化するような能力者ですから、なにかしら知恵がはたらいてもおかしくない。
ただトイレの個室という状況下では、どうだったろう。
さて、ゴンたち。
バトルをどうにか突破したはいいが、時間制限ぎりぎりでまたしても多数決の壁が立ちふさがった。
問題は二択。
全員で通れるが、制限時間にはとうてい間に合わないほど長い長いルートか。
近道ではあるが、5人のうち選ばれた3人しか通過できないルートか。
決が割れます。
このあたりも冨樫節ですなー。
問題と、それに対峙する当事者とのガチンコ状況では、かならず第三の視点からの解決を試みようと。
バトルでもそう。
ユピーvsナックル戦でのナルカミのように。
ということでトリックタワーをクリア。
一行は次の試験会場ゼビル島へ。
試験官はひきつづきリッポー。
リッポーに助手がいますが、どこから来たのでしょうか。トリックタワーにいた例のオードリー春日似の人とは明らかに違います。
受験生は全員、受験番号を書いたワッペンを胸につけている。
このワッペンの奪い合いがここでの試験でした。
自分のワッペンを死守すれば3点。
くじ引きでえらんだ自分にとってのターゲットのワッペンを奪取すると、これも3点。
ターゲットではないワッペンは1点。
合計6点以上を取得して制限時間を終了すれば、合格。
さて、ゴンのターゲットはヒソカと判明。
タイマンのバトルではいまはまだ勝てないと、ゴンは自覚している。
けれどワッペンの奪取だけなら、あるいは勝機があるやもとゴンは釣り竿を片手にあれこれと考えますね。
修行もしますね。
自然からヒントを得ようと観察もします。
問題とその当事者との対峙を、第三者の視点から、という構図がここでまた活きてきます。
平たく言えば『漁夫の利』ですな。
ところで、
このゼビル島では記憶に残るキャラが集結してます。
アモリ、イモリ、ウモリ三兄弟。
ココリコ田中そっくりの猿使いソミー。
新人つぶしのトンパ。
それからバトルシーンが描かれないYoshiki似のスパーとか。
彼、ライフルを持っている絵があったのでおそらくはスナイパーからスパーなんでしょう。
それとのちの話でも活躍する面々。
ヒソカ。
ポンズ。
ポックル。
ギタラクル。
ハンゾー。
隠れたり騙したり待ち伏せたりと、双方が名乗りを上げて戦うバトルとはまたちがったサスペンス要素があります。
シリーズとしてこうしてバトルのシチュエーションやバリエーションを変えていく作者の手腕は毎度のことながら脱毛。
もとい脱帽(死語)。
物語の序盤から荒野でゴリゴリのパワー対決にならんように、という工夫が施されています。
引き出しの数がモノを言うのです。
闇生