現場が中止になって、晩酌がてらにふと手に取った32巻。
例のコアラの懺悔の回。
この回の絵が醸す効果については、かつてここでも書いた。
再読して、あらためてあの不思議な懺悔の間の静けさを堪能す。
面白いのは、カイトがあんな形で再登場したことへの『この世界のなかでの理由付け』を、コアラの独白を通じて表しているところ。
ひらたく言えば輪廻のカラクリについてね。ここにきてやっとやっと語っておりますね。
蟻編は、作者による心理解説や能力解説が膨大にあった章であったが、生まれ変わりの仕組みについてはなぜか語られなかった。
あの注釈好きのノリならば、カイト再登場のときに展開されてもよさそうなもの。
それともうひとつ。
懺悔に訪れたコアラを、ゴンの懺悔に立ち会わせていること。
コアラを退場させて、一人ずつ面会したのではなかった。
そして、そのゴンの懺悔とカイトとのやりとりを見て(或いはカイトはあえてコアラに見せたのか。)、コアラは自分の懺悔は苦しみからの逃避に過ぎなかったことを知る。
自分だけ楽になりたかっただけじゃねえのかと。
たしかカイトたちは新種の生物を調査するのが仕事だったよね。
けど暗黒大陸には同行しないのだな。
好戦的な集団ではなさそうだから、無理もないけれど。
それとコミックスのカバーイラスト。
ジンの肩に重ねられた猫ってなんすか?
かつてクラピカが表紙を飾ったときイルカがあしらわれていて、それが彼の能力であると明かされたのはそうとう後になってからということがありましたな。
ひょっとするとこの猫もジンの能力に関係するのでしょうか。
※追伸。
カイトの育児役を買って出たコルトは、カイト成長後にはどういう身の振り方をしたのだろう。
無事に故郷をみつけて妹と母親と再会できればいいが、記憶がほとんど消えているんだよね。コルトて。
ぼんやりと妹レイナを守った記憶だけはあるけれど。それも自覚できていない。
レイナと行動をともにしたブロヴーダはコルトを知っているはずだが、レイナとのつながりに気がつくかどうか。
また気がついたとしても、コルトと連絡はとれないだろうし。
ま、それも人生なんだよな。
闇生