壁の言の葉

unlucky hero your key

力。

 米国でもやっとコロナ終息の兆しが見えてきたというところでの、悲しい事件。
 黒人男性ジョージ・フロイド氏を白人警官が白昼、公衆の面前で殺害した事件。
 この事件に抗議するデモの一部が暴徒化して略奪や破壊を繰り返している。


 思い起こされるのは、1991年のロドニー・キング暴行*1事件に端を発するロス暴動*2
 これも黒人男性が複数の白人警官に取り押さえられ、無抵抗のまま集団で殴打された事件で。
 偶然撮影された動画が公開されたうえ、裁判では警官らに無罪が判決されたためデモは暴徒と化した。
 無差別な略奪、破壊行為は全米に飛び火した。
 激した暴徒の一部が白人を無差別に襲う事件*3まで発生している。
 もうひとつ、ラターシャ・ハーリンズ射殺事件というのもこの暴動のきっかけになった。
 万引きと疑われた15歳の少女が、それを見咎めた店主ともみ合いとなった挙句、商品を置いて出て行こうとするラターシャを店主が背後から射殺した事件。

 
 今回のジョージ・フロイド事件からデモが暴動へと発展した動きもまた、この事件が単独の原因ではなく。
 ジョギング中の黒人青年が背後から複数の白人に射殺された事件など、ありましたね。

 
 ロス暴動は、鎮圧に軍隊が投入されるほどの事態となった大事件だった。 
 無くならない人種差別と、それによる貧富の差が、引火性の強い怒りとして黒人たちの心の底にわだかまっている。
 州外からの煽動者*4があるという情報もあるけれど、この強いわだかまりが潜在化していない限り煽動は成立しない。
 

 けれど、
 ロス暴動の時よりは理性を保とうとする人たちが増えているのではないのか。
 むろん、その理性がどれだけ世界を変えられるのか、繰り返されてきた差別の歴史を鑑みれば、無力感に苛まれてしまうのだけれど。
 それでも、この破壊、略奪に、効果は無い。
 自分の住む街を壊す行為は、愚かな自傷行為にすぎない。
 ましてや標的となった商店や店舗になんの罪があるのか。
 破壊対象が的外れなので、さながら便乗してストレス発散するアニマルではないか。
 これでいいのか。
 逆効果だろう。
 かえって人種差別者たちの蔑みをかうだけである。


 実際、ロス暴動であれだけの騒ぎをしたにもかかわらず今回のジョージ・フロイド事件が起きてしまっているという事実。
 つまり、手あたり次第の暴動に効果は無いということ*5


 『暴力』とは文字通り『暴』力。理性による制御(コントロール)がなされない力のことを言う。
 無抵抗なジョージ・フロイド氏が窒息死するまで頸部を圧迫し続けた力こそが、あきらかな暴力だ。
 理性を欠いた野蛮な力。
 よって、このような暴力に対して理性的に抵抗する力ならば、暴力とは言わない。



https://twitter.com/avril24th/status/1267402211778113536



www.bbc.com


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 闇生

*1:www.youtube.com

*2:ロサンゼルス暴動。 ja.wikipedia.org

*3:www.youtube.com

*4:扇動者。彼らは我々に潜在する負の欲望に訴えてくる。それは悟りを開こうとする仏陀や、砂漠の中のキリストを誘惑した悪魔の囁きのようなものだと思う。

*5:では、平和的なデモに効果があるかといわれれば、少なくとも即効力があるとは言えない。