壁の言の葉

unlucky hero your key

素敵な退屈。

 Amazonで注文したバイクの延長リアキャリアが届いたので、ヤマトの営業所までチャリで取りに行く。
 届けてもらう方が、屋外を動く人が限定されるので感染拡大のリスクは少ないのだろうか。
 あるいは家庭から家庭に移動しつづける配達員さんと戸口で接触するよりは、買い物のついでなどに取りに行くほうが、感染拡大抑止なのか。
 よくわからない。
 ここでも距離を置いて並ぶ光景がみられた。
 7~8人程度だったが、列は通常の倍くらいの長さになるので目立つ。どこかへ荷物を発送する人たちらしかった。
 そのあと地元のホームセンターへいってバイクのオイル交換用の廃油処理袋を買う。
 休みがつづいているうちに二度目のオイル交換をしてしまおうと考えている。
 いま4000キロを越えたところ。
 店内で、我がクロスカブのハンドル前に装備できそうなツールボックスをみつける。
 これも購入。
 帰宅してさっそくリアボックスを純正キャリアから取りはずし、延長キャリアに付け替える作業をした。
 作業は二時間くらいだったか。
 ホムセン箱固定用の穴を延長キャリア用にあけ直したので、ちょいと手間取った。


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東京堂 トップケースキャリアブラック


 ツールボークスはヘッドライトの上のアングルに結束バンドで固定。


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ツールボックス



 結束バンドは将来的に酸化して走行中に切れたりしないように耐候性のものを選んだ。
 同僚のカブ主がこれでラゲージボックスを固定していて、数年間びくともしないと豪語していたので、それを信じることに。
 デザインは黒の布地で箱型。観音開きのように開く。内面はビニールなので多少の雨なら凌いでくれるだろう。
 Pacatto bag という商品のMサイズ。
 なにを入れるためというのでもないが、ペットボトルや簡単な工具類なら収納できそうだ。
 見た目も気に入った。
 そしてリアボックスが後方へ移動したぶん、ビリオンシート(後部座席シート)が取り付けられるようになったし、リュックを背負って乗ることもできるようになった。
 あるいは小さめのバッグかボックスを新たに取り付けてもいい。


 ホームセンターは繁盛していた。
 日曜とはいえ、緊急事態宣言前よりも客が多いのではないか。
 駐輪場が満車だった記憶が、それまでにないので。
 入口には、家族で来店の際はひとりが代表して入店するようお願いが貼られてあったが、効果はないようで、小坊中坊が親のあとにつらなって暇を持て余しているのを何度も見かける。
 所詮はガキだ。
 これだけの自粛期間をじっとしていられるはずがないのである。
 思春期の子供を閉じ込めておいても、ろくなことにはならない。
 先々週ついた郊外の現場でも、真夜中に家を抜け出してきたらしい男女の中学生らが集団で自転車を乗り回していた。
 女子たちが男子たちにちょっと距離を置いてついていく感じがまた初々しい*1のだが、この事態のさなかでは、批判されるべき行動だな。


 あかんぞ。


 帰り道。土手のグランド。
 家族連れで賑わっていた。
 凧あげをする人の姿もある。
 こもりっきりでは気持ちがよどんで仕方がないのだ。
 大人ですらこうだ。
 子供たちなら無理もない。
 そんなもんだよ。あたしら大衆なんて。
 自粛を呼びかけられて、協力するはいいが、どうすれば自分が退屈しないかまで考案できる人なんてごく一部。
 ふだん読書する習慣の無い人が、意気込んで名作の誉れ高い大作を手にしてみたところで、読破できるわけがない。
 料理だって、楽器演奏だって、普段から習慣づいていなければ、レパートリーなんてすぐに底をつく。
 そもそも習慣づいていないことは、本当に好きなことではないのだ。
 すぐ飽きる。
 趣味の無い人が趣味を探そうったって、そう簡単にはみつけられない。
 テレビ観て、ネット観て、スマホのゲームして、やることなくなって……。


 若い人は、老後のシミレーションだと思えばいい。
 退職してから趣味をみつけようったって、うまくいくはずないのだよ。

 
 銀河鉄道999にこんなエピソードがあった。
 列車が何もない宇宙空間に停車して、何日間も動かない。
 退屈で退屈で仕方がない。
 けれど、列車の外は何もないので降りることすらできない。
 メーテルと鉄郎はその終わりの見えない退屈をやりすごそうと、歌を歌ったりして楽しむのだな。
 ギターを弾くメーテルの姿が新鮮だったのを覚えている。
 だいたいどこにギターがあったのか。
 あとになって、それは退屈をどう充実させるかを試されていたとわかる。
 ……うろ覚えだが。
 物語の終盤で鉄郎が頑丈な一本のネジにされるために旅をしていたことを思えば、なるほど、試されていたのだろう。


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20200426 3am

 
 今回の騒動も、壮大なお題だと思う。 
 自分を退屈させているのは、自分。




 闇生

*1:若衆宿などといった時代からの慣習というか習性を感じるね。『夜這い』とは近年まるでレイプのようなイメージ作りが繰り返されてきたが、ようは『呼ばう』の意味。学校が無く、親の仕事を手伝うだけの日々では、子供~青年期の世代ごとのコミュニティがつくれない。若衆宿は、夜な夜なつどって地域ごとの同世代と親交を深める役割だったそうな。彼らには代表者がいて大人衆と対等に交渉したり、祭の主導権を握ったりもしたという。その代表格が西郷隆盛だというのは、司馬文学で繰り返し言及されているところ。西郷を慕う配下たちはみな同じ若衆宿の子分格。組織はのちに各地で青年団として引き継がれた。