NODA・MAP『Q』

 NODA・MAP第23回公演『Q』:A Night At the Kabuki
 Inspired by A Night At The Opera
 作・演出:野田秀樹
 音楽:Queen
 東京芸術劇場 プレイハウス
 11/9(土)



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Q



 久々の観劇。 
 チケットをゲットした時点で、席が2階(最上階)の最後列から2列目とわかって以来、あまり気乗りのしないままこの日を迎えたわけだがあ。
 というのもNODA・MAPの芝居でこんな後列しか取れなかったのは、実は初めてなものでえ。
 後ろから二列目でも『S席』であり、12,000円であることにびっくらこきつつ、元は取らせてもらうからなの気構えでいどんだ次第であった。
 しかし実際に座ってみればだ、2階の傾斜の塩梅と、後列ながら真正面ということもあって、少しもわるくないではないか。
 ほお。
 そんなわけで、前情報も入れず、期待もせず。
 開演前に場内に流されている音楽も、うん。どうだろ。
 ディープパーブル、直訳ロックでかつて流行った王様、沢田研二細野晴臣、あとその名曲『風をあつめて』の誰かさんのカバーなど。
 本編へ導く前菜として流しているのか、どうなのか。
 『ロープ』ではクライマックスにつながりましたからね。
 そんなわけで一貫性を探りつつぼけっと待つ。


 クイーンの楽曲を全面的に使用した、くらいの情報しか入れてなかった。
 例の映画*1のヒットがあったので、そのブームをからかうならまだしも、あやかっちゃうなんて野田らしくもないじゃん。
 ……なんて感じていたのだが、企画はその映画以前から立てられていたという。
 あとロミオとジュリエットを下敷きにしているとか。
 それが源平盛衰の顛末を借りて繰り広げられるとか。
 となれば、また近現代の戦争を連想させる流れになるだろうことは、野田ファンなら読むわけでえ。



 さて、今回の着地点はいずこへ。


 正直言う。
 なんかそのやっぱ戦争反対につながったかー!的なあたりを結論ぽい締め方にしていたので、これで終わり? と感じた。 
 客電が入って、客はそそくさと席を立ち始める。
 お約束のカーテンコールをしないその状況に「なんて潔い客層だ」と感じて席を立ったあたしだったが、違った。
 これ休憩なのね。
 あぶねあぶね。
 うっかり帰っちゃうとこだった。
 かつてコクーン歌舞伎でも、前情報なしで行ったためにやらかしかけたことがあったっけ。
 あれも前半退屈したのでうっかりしたのだが、後半で大逆転。熱狂のスタンディングでお開きとなった思い出がある。
 今回も休憩のあとからぐっと密度が増すよ。
 ちなみに、休憩中のおなじみの女子トイレの長蛇の列。
 二階にもトイレあるので開演前にチェックしておいたほうがよろしいようです。女子の方々は。
 あたしゃおっさんなので、男子トイレは回転がはやいために後から並んでも大した時間はかからなかったですけど、女子トイレ状況にはいつも同情しますな。
 他人事ながら。


 で、休憩後。
 のネタバレは書かない。
 この公演も長いらしいし。
 全日、当日券を用意しているらしいし。
 入場前に本人確認までする周到さですから、これからも観る機会があるでしょうからね。


 見どころとしては、あたしとしてはやっぱ竹中直人だな。
 どーしても目が行っちゃう。


 『静かな演劇』というブームがかつてあって、
 この人は当時どちらかというとそちらの畑にいた印象が強い。
 野田が主宰していた『夢の遊民社』がよく「飛んだり跳ねたり」とか「おもちゃ箱をひっくりかえしたような」とか「言葉遊びの洪水」といった良くも悪くも目まぐるしさばかりを評されたのに対して、静かな演劇はざっくりいうと日常性を押した芝居で、両極端。
 野田が宮崎駿なら静かな演劇は高畑勲、的な。
 ちがうか。
 おこられるか。
 けれど映像での竹中は、場違いなほどテンションの高いギャグを連発するシュールな空気を醸していたし。
 笑いからシリアスまで現場に合わせて芝居の振れ幅を自在にコントロールする芸達者だし、またそのためのギアをたくさん持っているイメージ。
 それが野田の演出のなかでどう振舞うのか。足掻くのか。これは見どころでしょう。


 んが、
 体力的に大丈夫かなと心配になっちゃったよ。途中。
 演技なのか、マジなのか、集団シーンで竹中だけ肩で息してて。
 がりがりに痩せたちっこいおじいちゃんなんだもん。
 その、風が吹けばどっかに飛んでいっちゃう鉋屑のような薄っぺらい風情が、のちのち効いてくるんだけどね。



 松たか子
 安定の松たか子
 立ち姿がいいよね。この人は。声も良いけど。
 すっと走り出すとき、かっこいい。姿勢がいいんだ。
 今回、若い役者がいるせいで、俳優としての貫禄を感じました。


 
 広瀬すず
 若いなあ。
 あやういほど初々しい。
 あたしゃテレビ観ないから、この人の出世作的な映像を知らない。
 だから、初すずだ。
 相手役の志尊淳も若い。
 ロミジュリはそれでいいのだよ。
 だれも小手先の技術なんか期待してないから、おもいっきりやってほしい。
 古今東西のこの役を経た先輩たちの背中を追って、これから成長していくのでしょう。


 上川隆也
 初隆也。
 主役のオーラ、抜群でした。
 あたしの席でもびんびんに主役波動を感じましたね。
 あと橋本さとし。いちいち言うまでもないけど、良い。






 やっぱもうちょっと近くで、もう一回観たいな。



『Q』:A Night At The Kabuki小松和重さんインタビュー

 あ。音ね。声というか、音。なるほどー。





 闇生



 



 
 
  
 
 
 

*1:にしても『ボヘラプ』という略し方はどうなんだ。