壁の言の葉

unlucky hero your key

匿名の正義。

21~5時、夜間バイク進入禁止標識に囲われた巨大団地。
夜間はし~~~んと静まっている。
可能な限りの静音機材を使っての夜間工事に対して警察へ通報が。
赤色回転灯をつけたパトカーが現場に来着。

『うるさい』

と匿名氏より。
日中は工事規制の許可がおりず、
夜間はこんな塩梅だ。

ガードマンたちの通勤自転車の路駐にもクレーム。
匿名氏より。
規制のなかに収納しても、けしからんという。
規制開始前に作業着で現場にいるだけでクレーム。
いったい誰に迷惑をかけているというのだろう。

休憩中、歩道橋の下で雨宿りしてるだけでもクレーム。
むろん匿名氏より。


その都度出動させられる警察もあきれていた。
夜通し監視しているのだそうだ。匿名氏は。


おそらくは正義感から。
わたしがこの町を守っていると。
ライフライン工事は、どうやら彼にとって敵らしい。
手術は無痛で。
ダイエットは食事制限、運動無しで。
それのみが正しいと。
都市のメンテナンスも、おそらくはそんな風にとらえている。
住人よ、おめでとう。
あなたのこの静かな夜は、そんな匿名の正義感に守られている。


夜間バイク禁止。
新聞配達はどうしているのか。
当然、夜勤者だって住んでいて、ならば通勤にバイクくらい使えなければ、不便だろうに。
未明の帰宅は、バイクを押して帰るのか。




またバカな役回りを引き受けている。





追記。
現場に小銭入れを落とした。
家の鍵をいれといただけに残念なのだが、たぶんこうゆう地域での落とし物は戻ってこない。

余所者排除。

それがこの地域の柄である。



闇生