犬目宿を出、宝勝寺に立ち寄ってから陰陽石を拝み、鳥沢をめざしている。
この鳥居と馬頭観音、そして棚田の奥に見え隠れする本殿の風情。
まるで映画のセットのような趣きがある。
橋爪功のナレーションで、藤田まことの秋山小兵衛がこの参道を入っていくのが目に浮かぶような……。
やがて分岐して君恋坂の山道に。
君恋坂。
読み方はキミコイザカでよろしいでしょうか。
由来は神話からだそうですが。
うっかり通り過ぎてしまいそうなこの右斜めに上る草の道。
道標もないんかいっ、と思ったらありました。こんなところに。
右側のブロックの擁壁に、ひっかけてあります。
地下水抜きのパイプに杭をさして、そこに針金でひっかけてあるだけ。
素朴がいいとは言ったものの、これ、風でうっかり飛んでってしまいそう。
心配になっちゃうよ。
行政が設置したというよりは、旧街道歩きをたしなむどなたかが善意で、手元にある物だけで応急処置てきに作りました的な。
そう思うと、あたしもこの道中で不備だとおもった分岐点になにか記そうか、などと考えてしまう。
みんなで支えましょうよ。旧街道。
君恋坂は荒れてます。
こんなぶっとい倒木が道をふさいでいたりします。
この瞬間にたまたま下を通っていたらという想像と。
いままさに同じような倒木や枝落ちがあたしに直撃して、動けなくなっても誰も気づかないだろうと思うと。
わくわくします。
謎のストーンサークルに出くわした。
真ん中にあるのが礎石でしょうか。
お地蔵さんかなんかが鎮座しておられたのでしょうか。
で、この藪から出ると民家がぽつり。
マップによれば、温泉だという。
ああ。
たまんねえ。
この素朴さ、はあはあしちゃうね。
時間があったら泊まりたい。
旧道の右手にこの建物で。
ほんとに温泉か?
ただの民家じゃねえのか? と見渡すと、左手にこの看板。
がるるるる。
たまんねえ。
だってね、この旧道はさっきの倒木の藪からつづているのよ。
つまり江戸側から車で入ってくることはできないわけじゃない?
じゃあ諏訪側は? といえばすぐそこで県道30号に接続しているものの、その接続部になんの看板も置いていない。
この写真の看板は、県道に背を向けて設置してあるのよ。
『君恋』という名称といい『温泉』といい、若い人にアピールすれば、それなりにヒットする条件は整っているとは思うのだけれど。
どうすか。
つげ義春的な旅行が楽しめるかもよ~ん。
※追記 調べたら閉館したそうです。
つづく。
☾☀闇生★☽