シティ・ボーイズのライブを収録したDVDを観る。
『鍵のないトイレ』1992年と
『愚者の代弁者、西へ』1993年。
いずれも三木聡、シティ・ボーイズ作・演出。
はじめてみたから「懐かしい」という思いはない。
おもろい。
連作コントというのだろうか。
いわば短編集のスタイルだが、一見関係性のないそれぞれのエピソードに散りばめられたいくつもの布石が意外なところで回収され、連結してひとつの世界観を成して大団円に帰結する、というようなありがちで大げさな作りをしていないのが、ミソ。
テーマ性は各話ごとに嗅ごうとすれば嗅げる。
んが、決してむせかえるほどではなし。
そういうのは野暮でしょ、というスタンスがうかがえた。
いい感じに脱力。
いい感じにくだらない。
くだらないけど、そのくだらなさは観客である我々の日常のくだらなさを振り返らせるからであって。
おもろい。
コント、と書いてしまったが、ちゃんと演劇の空気があった。
本作は結成10年をこえてのこと。
つまり彼らもまた80年代の申し子である。
なのですでに堂に入ったものだが、その活動の初期には彼らとその周囲に、ラジカルや宮沢章夫や竹中直人や松尾スズキなどなどの名前があり、そこから派生していった影響を考えると、重要なのだなあ。
ちなみに92年というと野田秀樹が『劇団夢の遊眠社』を解散してロンドンへ留学に出た年。
その前年に『第三舞台』が海外公演をやってますな。
大人計画にはまだ温水がいて。
甲子園では松井秀喜が5打席連続敬遠されて。
バルセロナ五輪で岩崎恭子(14歳)が金メダル。
ジブリは『紅の豚』。
とんねるずはガラガラヘビ。
伊丹十三が『ミンボーの女』。
ストⅡ。
93年がドーハの悲劇。
インターネット。
FF5。
邦画がREXと水の旅人(笑)。
バブルの終末期ですからね。
終わることに気づかぬふりして引きつづき騒ぎたがっている感じ。
変わり目であることは明らかですな。
彼らを世に出した80年代がポイントなんですな。
あの時代を単なるお祭り騒ぎあつかいにしないで、腰据えて振り返るのも重要だな。
☾☀闇生★☽