氷国青年団著『補修日記 2』
主に建築現場で「補修屋さん」と呼ばれる職種があって。
まあ、その仕事の内容は本編をご覧になると明朗なので省くが。
簡単に言えば字義どおり、補修屋さんである。
あたしゃしがないケービ屋だが、建築についたのは新人のころだけであり。
それも分譲の戸建てばかりであった。
補修屋さんが出入りするのは建物の形ができてしまっている段階なので、重機やダンプやユニックが頻繁に出入りすることもなく、掘ったり打設したりはとっくに終えており、つまりあたしらにとってはあまりお呼びでない段階となる。
その頃となるとせいぜいゲート口で門番をやるくらいか。
となるとお決まりのこれだ。
「とりあえず時間まで立ってて」
あれほどの精神的苦痛もないので、蹴ってきた次第である。
なので余計に彼らとの関りがない。
仮にゼネコンについて常駐するならば、業者さんの通勤車の誘導や管理まですることになるから、完成までお付き合いすることになるのだろうけれど。
戸建て現場もめっきり減ったらしいし。
ともかく、業界では暗黙の了解事項だが、一般にはあまり知られることのない大人の事情的なネタが満載で、たのしー。
しかも女子視点だもの!
同性にも異性にも容赦がないんだもの!
おっさんにも笑えるおっさん批判がてんこ盛りだ!
四コマペースだからサクサクサクサク小気味よーい!
でありながら「ああああ、こういうやつあたしの近くにも居る!」と、共感までしました。
ここに登場するクレーマーにしろ、作業と自己表現を混同している人にしろ、周囲に思い当たること頻りである。
有体に言ってしまえば、これは愚痴漫画なのだ。
んが、愚痴とは本来こうあるべきでしょ。
愚痴のあるべき形。
それは第三者を楽しませてこそでしょ。
なかでも興味深かったのが美大から補修屋に入ってくる人が、けっこういるらしいこと。
考えたこと、なかったすわー。
効率や能率を最優先する、要は使えるか使えないかにしか重点をおかない現場において、作業員の学歴なんぞに興味をもつものはあまりいないんじゃないだろうか。
どう?
けど、そうか。
補修屋さんは、アート系が入り込んでくるのね。
おもしろいですねー。
そういや、大手が担当した学校の建て替え現場に応援でついたとき、シーリング屋さんのひとりがフジロックに出てる人だとかなんだとかで、同僚が現場で騒いでたな。
「夢こわさないで~」
とかなんとか抜かしてたが、そもそも日本のロックバンドにセレブ感を求めてどうすんだと。
吉祥寺あたりでゲロ吐いて~♪*1 の風情がニッポンのロックだろーが。
と決めつけて……。
西荻のニヒル牛にて購入。
一作目は品切れだったので仕方なく本作から読んだが、どちらから読んでも多分いけます。
☾☀闇生★☽
*1:週末の夜勤の休憩でつけたFMで『ラプソディ』の特集してた!