『至上の印象派展』国立新美術館。

 『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』
 国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO 乃木坂にて。


 www.buehrle2018.jp


 ポスターはルノワールの代表作のひとつ『可愛いイレーヌ』でこのコピー。


 「絵画史上、最強の美少女(センター)。」


 センターのフリガナをもっと強調するべきかなと思ったのだが。
 テレビを見なくなって久しいので、この言葉がいまだに旬でありつづけているのかはあたしゃ知らん。
 ともかく、初めて目にするモノホンはそりゃもう完璧でございましたよ。
 ごちそうさまでした。


 こうしてアイドルになぞらえる広告戦略が功を奏するとなると、世の絵画好きたちは、たがいに推しメン*1を論じあうのでしょうな。
 ISH(印象派)48とか。
 総選挙やったら地味に盛りあがりそうだし、一覧など作れば絵画に触れてこなかったひとたちも興味をひかれるんじゃないでしょうか。
 ぜひ日本からも浮世絵から参戦させたいところです。


 このイレーヌちゃんと対(つい)の関係としてポスターは美少年ヴァージョンもあります。
 セザンヌの『赤いチョッキの少年』を使って、


セザンヌ、奇跡の少年(ギャルソン)。」


 だってさ。
 ううううむ。
 どうすか。
 男女平等ということで対を作ったのでしょうが。
 哀しいかな、男にはセンターに対決できる言葉が無かったのでしょう。
 だもんでこちらはインパクトに欠けます。
 ただ、このモデルとなった少年は当時の超売れっ子モデルだったとのこと。
 顔ちっさいし、
 童顔で、
 華奢で、
 ロン毛で、
 手が長い。
 きっと足も長いのでしょう。
 現代に居てもイケてるんじゃないでしょうか。
 印象派ではなく写実的な手法で描かれた肖像画くらい残っていやしないかと、ちょいと思ってしまいました。
 すんません。


 さて、『至上』と謳った印象派展。
 パンフには『世界最高峰の印象派コレクション』とまである。
 大きく出たものです。
 ビュールレさんのコレクションだそうで。
 たったひとりでこれほどの文化遺産を収集した彼はいったい何者なのかと。解説をあたくしなりに解釈すれば、要は武器製造でひと山あてた人らしい。
 時代ですな。
 それを絵画の収集の軍資金にあてた。
 そのおかげで貴重な美術品が、戦争のどさくさにまぎれて散逸したりせずに保存されたと。結果的にはそういう形で世に貢献したということでしょうか。


 今回はそのコレクションから主にルノワールドガ、モネ、マネ、セザンヌゴッホ、ブラック、ピカソなどの作品が来日。
 ウリは日本初公開となるモネの『睡蓮の池、緑の反映』。
 順路の最後に展示されたのがこの200×425cmの大作で、撮影OKにされているから人だかりがすごかった。
 毎度思うのだが、撮ってどうすんだろか。
 どれほどの腕前だか知らんのだが。
 人垣があまりにぶあつくて、全体を見渡せる瞬間がなかったよ。
 残念です。
「写真のほうがきれい。実物はなんだかな」
 などとつぶやくおばさまがおりました。
 けど、モネはそんなにかぶりつきで見ちゃわかんないでしょうに。
「マネはモネのマネしてるの?」
 などとベタなこと言ってるのもいました。
 おつかれさまです。
 注意すべきはヘッドホンガイドで。
 あれをボリュームいっぱいにあげたまま同伴の友とおしゃべりしているご婦人がおられましてな。


「梅毒だったんだって」
「え?」
「梅毒」
「バイドク?」
「ば、い、ど、く」


 マネの解説を音読しながら、大声で囁くという演劇的なやりとりが繰りひろげておられました。
 館内はBGMないですからね。
 とどろきまさーね。
 梅毒が。
 一枚の絵画をまえにしてその解釈を他者とキャッチボールするのは大切ですが、梅毒のラリーはどうか勘弁ねがいたい。


 最後に、館内。
 モギリを通過したすぐそこに挨拶文がおっきく掲示されてある。
 なので、まずはそれを読もうと立ち止まる人たちが後続の入場者を邪魔してしまうことになっていた。
 立ち止まらず奥へ進むように係員が声をかけてはいたが。
 まずは配置をも少し工夫したらどうでしょう。
 美術館ではいつもこういった『順路の工夫』もたのしみの一つとしています。
 特に、混雑が予想される企画展ならばできるだけ一方通行で行けるようにしていただきたい。
 そのあたりの構成に神経が行き届いている展示会は、きもちいいです。
 おみやげ売り場を通過しなくては施設から出られないようにするあたりは、どこの美術館も抜け目がないのだけれど。
 ポスターに採用した作品の前は人だかりが予想されるのだから、とりわけ人の流れをよんで工夫すべきではないでしょーか。


 この日は月曜。
 平日でもこんだけ混雑しているのだから、これで週末をむかえるとなると、どうなるのだと。



 
 追記。
 六本木駅からスマホのグーグルマップにナビさせて歩いた。
 むろん徒歩の設定で。
 なぜかナビは美術館の表門を素通りし、敷地に沿ってぐるりと裏手へと導いた。
 それに従って裏手の車両の搬入口から敷地に入った。
 それは別にいい。
 歩道のスロープをのぼって入館。
 案内嬢にチケット売り場の場所をたずねると、建物の外だという。
 ナビの言いなりになって素通りしてしまった例の表門。その入ってすぐのところに別個に売り場が建っているのだ。
 裏手から入ったあたしは、売り場を通らずに入館してしまっていたのである。
 けれど、裏手からの来場者のために歩行者用スロープがあるのだし、その出入口に配置されていたガードマンも毎度のことのようにスロープへと案内してくれた。
 これもまた人の流れが意識できていない配置だと思った。
 最寄り駅によっては裏手からくる人も少なくないだろう。
 裏手組の流れはこうなる。裏から敷地に入ったら本館の玄関をいったん通り過ぎて表門のチケット売り場でチケットを買い、また本館へ引き返して玄関から入るという二度手間を強いられてしまう。



 ま、いいや。
 イレーネちゃんが待ってますよん。
 5/7まで。




 ☾☀闇生★☽

*1:この言葉もまだ旬なのでしょうか?