脚本・演出・出演:小林賢太郎
出演:久ヶ沢徹/竹井亮介/辻本耕志/小林賢太郎
2012年12月 神奈川芸術劇場 収録
『開拓』を続けてきたとある国家。
ついにその領土拡大も世界の果てまで行きついてしまう。
世界の果てには巨大な壁がそびえており、その向こうの世界は誰も知らない。
さらなる開拓をおしすすめようと、壁に突破口をあけるべく大砲が用意される。
発射のために収集されたのは、名もない民間人三名とその指揮をとる開拓団員一名。
個性も特技もまったく異なる四人が、来る発射の瞬間に向けて訓練を開始するのだが。
以下、感想。
小林賢太郎作品にしては装置が多い。
ミュージカルのようなダンスまである。
寓話めいた物語に沿って人物たちの性格もわかりやすく色づけされ、デフォルメがされている。
今回も自己啓発的メッセージが散見された。
アンガー・マネジメント。
ひきこもり、おたく。
個性と、適材適所。
チームワーク。
自己嫌悪と自己肯定。
「自分は変われるか」
何者にもなれないままに他者を口撃する風潮への批判。
くわえて反戦めいた展開なので、こっ恥ずかしくなるくらい健全な世界でなのであーる。
さながら小学校の演劇鑑賞にもつかえるような。
前半、なんのために壁にむけて大砲をうつのか知らされないままに訓練する三人。
このあたり大友克洋が『Memories』に収録した『大砲の街』を想起させられた。
パラレルワールドを想像する力があるのなら、その想像力を非現実にばかり使うのではなく、現実の国境の向こうに使え、というとこでしょうかね。
☾☀闇生★☽