現場のあがり。
その夜ご一緒した仲間たちが三々五々に解散していく、そんなひととき。
身支度を終えた紅一点、中堅女子隊員が「おつかれ〜」と去っていく。
返して「おつかれっすう」と送りだす野郎たち。
そんななか、細身細面でニキビ面の新人君が詫びるように彼女にこう声をかけた。
「すいません。ラインの交換はまたこんど。会社で……」
申し訳なさそうなその言い草。
なりゆきでこの夜、ふたりの休憩を同じタイミングで取らせていた。
なるほど、イケメンなのだろう。
彼女のなかのジョシをジョシたらしめているナニゴトかを、もよおさせてしまったのだろう。
いやん。
えらいこっちゃ。
で、他の隊員が聞きとがめてさっそくイジる。
「えええ? 逆ナン?」
おいおい。
やめろやめろ。
そっとしといてやれよ。
できることなら秘密裏に済ませたかったにちがいないのだ。
それを臆面もないニキビ面に、よりによっておっさんたちの前でさらしものにされるとは。
てか、
ラインの交換を、不確定な未来に持ち越されてしまったジョシの気持ちを忖度せえよと。
おっさんは、
おっさんをおっさんたらしめるべく、そういうのは背中で聞き流すのみ。
鈍感でござい、と原チャでぶい〜んと帰るのみ。
おつかれ、ジョシ。
おつかれ、おっさん。
☾☀闇生☆☽