壁の言の葉

unlucky hero your key

休日とおっさん。

 土曜に交通誘導2級の社内講習があり、
 それに備えて前日を休日にしておいた。
 夜勤に狎れきった体内時計を修正しようと目論んだわけだが、一日ぽっちではそううまくはいかないもので。
 怒涛の睡魔と闘わされる一日となった次第。
 講習のあとはそのまま夜勤現場に直行する予定であった。
 ところが予報的中となった雨のせいであえなく現場は中止に。
 講習を終えるやおとなしく帰宅して、お晩酌に。
 朝酌でなく、お晩酌がお晩酌であることにいささか懐かしみを抱きつつ、ネットを漁る。
 とはいえ、夜勤リズムからは戻りきれていないわが体内時計であーる。
 どうせ眼が冴えてしまうだろうと高をくくっていたのだ。
 放置しておいたレンタルDVDを、朝までかけてやっつけたろと。
 しかしここでも睡魔ちゃんはゆるしてくれず、溺愛されてあえなく撃沈と。
 いやこれは仮眠となるはず。
 そうふんで横になったら案の定、爆睡。
 空也上人像のごときありさまとなった次第。


 夜半。
 夜勤の先輩から日曜の現場のお誘いをショートメールにて拝受す。
 ありがたし。
 お返事して、またも爆睡。
 でまたメール受信。
 一週間ほどまえに出したメールへの返信なり。
 たま〜に数通ぶんをまとめて返信してくれる、リアクションだけの関係。
 熱のない文章。
 もう会うこともないのだから、切れば良いのに切って来ない。
 そこもまた、リアクショニストなり。
 ありがたし。
 食べ残しを放られた野良猫の気分で、ありがたし。
 あんたにとっての残飯は、あたしにとっては御馳走だ。
 でこの老猫はひきつづき爆睡と。
 おかしい。
 何時間でも眠れるぞ。
 そんなはずはない、と何度か目が覚めた折に読みかけの小説など手繰り寄せてみる。
 それはそれで読めてしまう。
 おもしろい。
 んが、気づけばごく自然とレム界へと踏みこんでいるではないか。
 朝になる。
 飯を食わねば、と思う。
 ぐすぐすしているうちに日がのぼる。
 ふだんなら朝酌の具をもろもろ買いに寄っているはずの時間に、いつものコンビニへ。
 ロールパンを、ツナと卵のサラダサンドでそれぞれ一本ずつ。
 オーブンで軽く焼いてインスタントコーヒーでいただく。
 ちょっと足りない感じがして、インスタントのカップそばも食す。
 で、爆睡だ。
 昼を過ぎる。
 なんなんだ、これ。
 大丈夫か?
 眠り自体は浅いらしく、夢を自覚している。
 のを自覚している。
 のを自覚している。
 絶縁している旧友も出てきた。
 なんか有名人も出てきた。
 エロい夢を見ている自分を、自覚している。
 午後、セットしておいた飯が炊けていたので、握り飯をふたつ作ってむさぼる。
 うまし。
 でかでかとした梅干をまるごと埋設し、ゴマ塩を散布して味付き海苔で養生した粋な奴。
 うまし。
 インスタントみそ汁に乾燥わかめを追加して、やっつける。
 たぶんそのまままた眠れるのだろう。
 さすがにいかんだろうと考えて、おっさん外に出ることに。
 歩いて20分かけて近所のホームセンターへ。
 自転車の虫ゴムを購入。
 別に買うものは何でもよかった。
 ただ外にでる理由がほしかった。
 でも夜勤の前に本は読んでおきたかった。
 できればテキストもちょっちすすめておきたかった。
 それだけのことである。
 それらを満たすためにちょうどいい外出はといえば、


「虫ゴムを買ひに」


 ではないのか。
 原チャリを乗りはじめた途端に、長年使い回してきたチャリを放置するなんてつめたいおっさんにはなるもんかと。
 真剣に三角関係をつづけていくんじゃと。
 帰宅して、さっそく虫ゴムを交換す。


 

 映画『裏切りのサーカス』が良かったので、原作本を旧訳で読みはじめている。
 映画の感想は、ずいぶん前にここに書いた。
 三部作だという。
 その一作目。
 新訳はアマゾンでの書きこみ評価が芳しくないので、とりあえず旧訳から。
 翻訳ものってのは、むずかしいんだろうね。
 すんなり読了できるものって少ない。


 窓の下部に、蒸気が水と化したのを捉えるためのアルミの溝がついていた。


 これは「結露」という言葉を使えばもっと簡潔にできたんじゃないか。などといちいち頭をよぎってしまう。
 そういう雑念がうるさいのね。
 まあ、原文がそういうまわりっくどい書き方をしているのかもしれませんが。




 で、いまから日曜の夜勤す。
 いってきます。




 ☾☀闇生☆☽