夜勤。
雪のあと。
頭の芯が痛むほどの冷え込みなり。
幸いと詰所がある現場なので、休憩中は本を読もうと考えた。
しかしこの日の相方は空気を読んでくれなかった。
文庫本とペンを手にとってページに目を落としてみせるだが、ずっと話しかけてくる。
それも親しみをこめて。
こちらに合わせたつもりなのだろう。自分の読書歴を披露してくれるのだ。
くれるなら気遣いよりも静寂のほうがありがたい。
本をたしなむなら、それくらいはわかって当然だろう。
んが、
彼はどういう本をあたしが読んでいるのか、あるいは好むのかはいっさい聞いて来ず、一方的に自分の趣味を投げてくるばかり。
読書家なら孤独を愛するはずだ。
そうでなければ本の世界に没頭などできないのだし。
また、そうふまえればこそ他人の孤独を気遣えるではないのか。
おまけに喫煙者であった。
プレハブのエアコンがフル回転しているのに、換気扇のせいで一向に温まらない。
嗚呼。
☾☀闇生☆☽