壁の言の葉

unlucky hero your key

かしこも。

 

 ロビンソン・クルーソー状態のわがケータイであったのに、スマホに換えたとたんに迷惑メールがごっそりと。
 海岸線は、押し寄せたメッセージ入りのボトルでうめ尽くされた。
 掃討しても掃討しても、引きも切らずにとどけられるというのは、あれだな。
 有料セキュリティ・サービスへ加入しろというこったな。
 この二日ほど、ぱったりと途絶えていたのは嵐のまえの静寂だったようで。
 堅守されてきた01時から06時の休戦タイムが、なくなった。
 もっとも、そんな条約などかわしてはいないのであるが。
 おそらくは「これはおどしじゃねーぞ」という意思表示だ。ナニモノかの。
 不意打ちの夜襲で睡眠不足に陥らせて、状況判断能力を狂わせたうえで、一杯数十万のビールをふるまう雑居ビルの地下店舗に押し込んじまおうという算段だなと。
 だいたい勤務指示の受信装置としてしか機能していなかったわがガラケーだもの。
 たまにかえってくるのは『Re:』のみ。
 いうなればやまびこくらいにもので。
 黙れば黙ったぶんだけの静寂だった。
 広大なる海は、こちらからのボトルを黙然として呑み込むばかりだったもの。
 ああそれなのに突如として我が島は、漂着ゴミでごっちゃりだ。
 そこへ「格安でゴミを引きとりま~す」と軽トラが通りかかったとすればどうだ。
 さながらチャップリンの『キッド』ではいなかと。
 窓ガラス屋が、自分の息子に他人の家の窓ガラスを割らせて、そこを偶然通りかかる態で注文を受けるというアレだ。
 古い古いやり口だ。






 踏んだり蹴ったり、












 スキップしたり。








 

 ロボットダンスでくしゃみをしたり。








 
 嗚呼。








 Art of Noise - Robinson Crusoe






 ☾☀闇生☆☽