営業を本業とする新人さんとこのところ夜勤で組ませていただいている。
その彼、都会の真ん中で夜な夜な誘導灯を振っているのが会社にバレたという。
先日電話がかかってきて、上司から指摘されたそうな。
否定はしたというが、油断できないものである。
人はなにげに見ているものなのだ。路傍の警備員を。
しかしバイトを禁止するなら固定給分をあげろという話ではないのか。
なにも彼は好きで睡眠時間を削ってガードマンをやっているわけではないのだ。
寒さと眠気を耐えて、耐えて。
食っていけないからしている。
ましてや歩合制に大きく拠った給与体制だという。
成績が直結するので公務員のように安定することがまずない。
法律的、倫理的、道徳的にゆるされる職種ならば、本業へのイメージも決して損ないはしないだろうに。
「実は夜はケービのバイトをしておりまして……」
誰が損をする。
アイドルだのの、イメージが商品価値に直結するような職種でもあるまいし。
本業に差し障るようなことをしたわけでもないのだから。
ならばバイト云々は個人の責任であり、勝手であろうに。
にしてもだ。
それを目撃し、いちいち密告ってせせら笑っているヒマ人の存在こそ不愉快千万。
この場合のチクリ屋は、いったい何を得したのか。
会社は何を保守できたのか。
聞けば、わが子の進学を控えてのバイトなのだという。
お父さん頑張ってんだぞ。
まあ、あらかじめ周知しておいた会社の規定に触れたということなのだろうけれど。
ようするにそれが雇用条件だと。
ルールはルールだと。
ううむ。
で、内規違反の確証はうやむやのまま、実質的な懲罰を受けているそうな。
なんだろう、この『ごっこ』感てば。
なるほどその会社、調べてみれば会社としても斜陽なのであーる。
沈みかけの船中での足の引っ張り合いほど醜いものは無い。
☾☀闇生☆☽