壁の言の葉

unlucky hero your key

 日勤の指示が入らず。
 昼過ぎに確認すると他支社の夜勤現場に組み込まれることになる。


 某街道の表装舗装工事。
 規制がY字路にからむので片交もY字となった。
 片側一車線を零時まで。
 それから規制替えして対面を。
 自分はY字路の逆側の片交要員を務める。

 
 仕切りは、かつて別の舗装工事現場でご一緒したYさん。
 他にかつて営業にいたWさん。
 そしてTさん。
 彼は、自分が担当していた工事に、まだ新人として参加してくれたことがあった。
 彼もそれを覚えてくれていて、会うたびにそう声をかけてくれる。
 先方の注文は誘導員16名。しかしこの日は3欠。 
 規制を開始するや渋滞がひどく、バス会社からクレームをくらうことに。
 信号ダブル流しで対応して、23時前にはどうにかそれも解消。


 この日は冷え込みが厳しく、二重に重ねた靴下の間に使い捨てカイロを仕込んで挑んだ。
 ほかにワイシャツの胸ポケットにもカイロを潜ませる。
 この時期の夜勤の防寒装備は次の通り。


 上半身は長袖肌着のヒートテック
 ジャージ、
 ワイシャツ、
 その上に薄手の毛糸のセーター、
 会社から支給された防寒ベスト、
 制服上着
 防寒着、
 トラチョッキ。


 下半身もまずはヒートテック
 ジーパン、
 そして制服ズボン。
 このジーパンの裾は靴下に入れてしまう。
 そして先にも記したように二重の靴下である。


 これだけ着込んでも耳と襟足、それから指先はかじかんでしまう。
 風などふこうものなら、ひょええええっとなる。
 首回りをネックウォーマーで保護する隊員もいるが、明らかな装備違反なので今のところ自分は避けている。
 それに覆面ガードマンに誘導されるのって、どうすか?
 手袋は規定の白手をするが、そのなかにふかふかの手袋をするのが主流かと。
 こちらも足と同様に、隙間に使い捨てカイロを仕込むことが多い。
 しかしこの日は片交要員である。
 誘導灯をにぎり、振り、無線のスイッチを感触をたよりに扱わなくてはならない。
 カイロをはさめば動作の邪魔になると考え、やめておいた。


 しかしまあ、他支社からの応援であるのに、よりによって片交をさせられるとはね。
 そう思ったが、仕切りのYさん自身、応援でうちらの現場にいらした時は、決まって片交をさせられていたのであーる。
 ひょっとするとそのお返し(復讐)かとも考えた。
 しかし、顔をみるや「ああ、闇生さんか」とこちらを認めるようなリアクションをなさり、そのうえで配置を決めておられたので、悪い気もしない。
 いや、というより、それで諦めがついた。
 つけるしかないでしょう。
 こちらの能力を把握した上での配置なのだから。

 
 04時10分規制解除で終了。
 街道を自転車でひた走って帰宅す。



 ☾☀闇生☆☽