ついにアマゾンにて洗濯機を注文する。
かつて姉夫婦が義理の親と同居する際に余ったのをくれた。
そいつが唐突に洗濯中にいや〜ん、いや〜んと奇声を発しはじめて以来、ずっとコインランドリーを利用してきたのだが、そうやって目先の出費を嫌っているうちにゆうに十年は超えてしまったと思う。
買いそびれていたのにはもう一つ理由があって、洗濯機置き場がアパートの安直な設計ミスにより非常に使いづらいことになっているのだ。
我が侘び住まいは、昭和の貧相な木造モルタルアパートで。
洗濯機はドアの外に置くスタイルである。
である、だなんて微塵も似合わないしょぼくれっぷりなのであーる。
その洗濯機と水道の位置が、共用の廊下を挟んだ関係になっているのだからたまらない。
つまり水道ホースが廊下を横断する形になってしまう。
遮断機のやうに。
現に隣人の洗濯中はそれをまたいで行き来しなくてはならない有様であり。
電源もそれ用に設置されてはおらず、室内から置き場まで延長コードを引っ張らなくてはならない。
この問題をどうするか。
前回洗濯機を使っていた頃、電源はドアを半開きにして室内から延長コードで引いていた。
これだと夏ならば虫が入ってくるし、冬は冷気が入ってくる。
不意に訪問セールスや物見の塔が顔をのぞかせることだってあった。
これを玄関キッチンの小窓から延長コードを出すことで解決する予定。
ガステーブルの上の小窓なら、コードの太さだけ窓を開ければ済むし、外から部屋をのぞかれる心配もない。
そもそものぞきの需要などまったくないおっさんの独り住まいなのであるが、物見の塔に居留守を貫けるのは大きいだろう。
あちらから寄って来る異性なんぞ、もはやあれくらいなのである。
水道は、ホースを長めにとってできるだけ床の隅を這わせることにした。
で洗濯が終わるたびにいそいそと撤収する所存だ。
これにて問題はほぼ解決。
ズバット解決。
もうね、帰宅次第に、真夏のおっさん汁を一日分たっぷりと吸いまくった衣類を親の仇とばかりにダンクして洗濯してやんだ。そのまま酔い潰れちゃっても、まあいいじゃないかと。
コインランドリーなら次の利用者を慮って早急に回収しなくてはならないのだから、このほったらかし感はほったらかしには出来ない。
問題はもうひとつ。
置き場のヒサシが充分ではなく、雨ざらしになる点。
ううむ。
もうちょっと大きめにとれよ。ヒサシ。
カバーを掛けるのもいいが、あれ、嫌う人多いんだよね。
自転車のカバーにしてもそうだけれど、ああいったものはいたずらに放火を呼ぶんじゃないかと、やたら心配する貴兄がおられる。
まあいいさ。
野ざらしでいこう。
しかしどうせなら長〜く大切に使いたいのであーる。
これまでコインランドリーは、週に一度、通常型に200円。大型機に300円。一週間分の洗濯物をまとめて使っていた。
このたび注文した洗濯機は17,070円。安っ。
ホースとホースバンド合わせて1,000円。
振動対策のゴムマット約1,000円。
しめてコインランドリー38回ぶんとなる。
さて、減価償却する三年後まで持つかどうか。
あたしを嫌ってだんまりしたり、奇声を発したりしないだろうか。
漫画家の松本大洋が書いた芝居に『メザスヒカリノサキニアルモノ』というのがある。
先日亡くなった斉藤晴彦がかつて夏の野外劇に仕立てあげていた。
登場する下着泥棒が洗濯機に『エンリケ』と名付けているのが印象的だったね。
この際、命名してみよっか。
☾☀闇生☆☽