その発端に夢がある。
それだけで仕合わせなのだ。
仕事柄、ガードマンに接することが多く。
こちらも興味があるので、それとなく経歴をインタビューすることがあるのだが、経営の経験者に出くわすことは少なくない。
その多くが語る起業時の夢について、の話である。
たとえば、これね。
「こんな店、あったらいいな」
という混じりッ気なし、下心無しの客目線の理想。
起業なんてもんはそんなシンプルな、シンプリーヘッドな願望が発端になったりしているもので。
して、その点において、大概の場合、後悔や反省の匂いが無い。
むろん、それを商いに転換していく手段、手法には、ひょっとすれば改善策があったのやもしれぬという自己分析はする。
んが、
その夢に関しては胸を張っている。
張っていいだろう。
あったらいいな、という客目線を実現しようとしたのだから。
あるいは、売上が低迷しながらも、どうにか持ちこたえようとしている経営者。
その心のつっかえ棒も、そこにあったりするのだろう。
今の現場の常駐ガードマンが、まさにそれでね。
彼の夢を聞くと、あたしゃどこか嫉妬を覚えるのであーる。
彼は紛れもない仕合わせの中に、居る。
思えば、前職の経営者もそうだった。
あったらいいな、こんな店。というマイノリティをターゲットにした商売だったはずなのだ。
ドラえもんである。
そんな夢の綱渡りを、利潤のバランス棒を手に続けていたのだが、いつの間にか儲けと、その反動の無駄の削減を主義化してしまった。
ある分野に特化させてそれで成功したはずの夢の店が、その所為でピントを甘くさせた。
利潤に勤しみ、夢を怠けた。
あれだけ熱く夢を語ってあたしを誘ったお人が、いまは「何が儲かるか」、「どうやれば儲かるか」しか話さない。
手段のまえにまず夢を持たなければ、続かないよ。
商いは、飽きないというくらいだ。
失敗しようが、成功しようが。という踏ん切りが、起業の最終決断には必要なのだろう。
だったら、夢ではじめるべきなんだろうね。
ガードマンになっても、胸張ってるよ。彼らは。
追伸。
いい?
起業することを目的として、次に「さて何が儲かるか」ではないということね。
☾☀闇生☆☽