高校からの友人に年内に飲もうと誘われる。
いまだに彼だけは折々に連絡をくれる。
社会的格差でいえば、知りあうはずのないギャップがあるにもかかわらず、である。
休日。
することもなくぶらりと新宿に。
歌舞伎町。
かつて初台の四畳半、トイレ共同、風呂なしに住んでいたころ、眠れなくなってよくここまで散歩した。
別にどこの店に用があるわけでもなく。
ただ歩きたかっただけである。
歩き疲れて眠くなるために歩いた。
いまなら酒でやっつけるが、あの頃はそういう概念が無かった。
で立ち寄ってもせいぜいオールナイトの映画くらいか。
コマは現在建て直しの工事中で。
ロータリー広場もまた工事のバリケードで閉鎖されている。
テレクラのエンドレスの呼び込みテープは、もう聞えない。
りんりんりんりんりんりんはうす。
いそげ者ども、者どもいそげー。って女の人がいうアレ。
映画館のひとつはライヴハウスになっていてそこに昼間っから女子の列。
此処、いまでも夜ともなれば立ちんぼさんが出没するんだろうか。
ホストクラブの看板がやけに目につく。
すげえな。
この価値観も。
なるほど『歌舞伎町』というからにはかつて歌舞伎にゆかりのあった土地なのだろう。
それがいまも化粧した男たちがちやほやされる場所として続いているのだ。
でそばに二丁目があると。
西新宿に集中していた海賊盤屋はあとかたも無く。
エアーズを探したが、見つからない。
ここにも女子の列があったが、何の列だかわからない。
飲食店が増えて。
ストリップ劇場は有名予備校に。
刻々と様変わりしていく。
人は去り、また訪れて。街は代謝を繰り返す。
いや、
その代謝が街なのだ。
そしてやっぱりどことなく小汚いところは相変わらずで。
歩く。
歩く。
伊勢丹のクリスマスキャンペーン。
ショウウィンドーに目を惹かれ立ち止まる。
採用されたイラストレーターは有名な人だろうか。
絵描きの知人に教えてやろうとメールすると「相手方ホストの都合により」で送信できなくなっている。
歩く。
アドレス、一件削除。
南口。
大階段下の喫煙所の猥雑感。
かつてはコンクリートの階段に鉄パイプの手すりだったのを知っている。
どんなに取繕っても、こればかりは払拭できない。
戦後の写真集にもここは出ていて。
やはり汚かった。
タワーレコード。
激した手書きポップを眺めていく。
エロ屋に勤めていたころ、これを目指して手書きでやったら店長に無言で破棄された。
フォトショ信仰に篤い人だった。
頑張れ、手書き職人。
歩く。
会うために服でも買おうかと思っていたが、やめる。
このままでいく。
☾☀闇生☆☽
