壁の言の葉

unlucky hero your key


 そこへいくと今の現場のリーダーは、違う。というのがわかった。
 これはあたしの読解力不足であった。
 だもんで先日の悪口は撤回しよう。
 で謝っちまおう。すまん、と。
 ここもスリーマンセルの、いっぱいいっぱいの戦況には違いない。
 だもんで下っ端の身として、リーダーがいまひとつ動いてくれないと嘆いていたのだが、要は四十七士の昼行燈なのだ。彼は。
 平時は、のそのそしていて不平と細かい指図ばっかりだ。
 そんぐらい自分でやれよ、といいたくなるような些事をなにかと言いつけてくる。
 そのせいでこっちは二度手間、三度手間の痛い目にあわされる。
 朝まで飲んで事務所で酔いつぶれ、管理職特権で遅刻したりもしてる。
 けれど、ピンチになるとスイッチが入るのよ。この人。
 血色が良くなって途端に活き活きとしてくるんだ。
 嗚呼、万策尽きて八方ふさがりだ。なんて状況になると急に精気がもどってくる。
 すげえよ。
 長嶋茂雄かよ。
 ようするに退屈してるだけなのだと。だれにでも務まる平穏無事の連続に。
 豊富な知識と経験がそうさせるのだろうけれど。
 して『トラブル』=『未知の体験』といった態でピンチに否応も無く好奇心を抱いちゃうのね。
 疼いちゃう。
 ともすれば不謹慎とも受け取られがちだけれども、抑えられない。
 ピンチを心待ちにしてる。飢えている。そばで見てて呆れるくらいに。
 でいざ有事となれば、陣頭に走り出てるわけ。

 
 おみそれいたしやした。








 3.11で店舗がすっゃかめっちゃかになった数日、自分だけ休みやがった前の職場の経営者に教えてあげたい。
 その後の余震で、接客中のお客さんをおいてひとり窓から脱出しようとした彼に、言いたい。
 部下であるあたしがそれを制したのよ。
 かっこわるっ。
 いや言ったってわかんないだろうけれど。




 ☾☀闇生☆☽

  
 追伸。
 雨降る。もう降る、なんて朝からいってるからせっかくの休日、部屋で潰してしまったわい。
 ったく。
 もおおお。