おそらくは昼過ぎから降り出したのだろう、雨。
日がな一日、空の見えない現場にいるので終了するまで知らなかった。
帰宅して、
日中開け放しておいた窓を閉める段になっていつも気付くことがある。
隣の家の雨だれの音である。
数年前、三階建ての屋上付きに建て直した。
これといって珍しい形状でもなく、
昔ながらの屋根瓦も、してその傾斜もなく、
無駄もなく、
屋上つきによくあるタイプの四角四面の一戸建て。
広告によくあるタイプの、アレ。
いい歳こいていまだボロアパートに棲む闇生にとっちゃ、まばゆいばかりの威容なのだが。
この極めて現代的でスタンダードな建築物が奏でる雨音ばかりは、いただけない。
ぼたりぼたりと屋上のヘリから滴り落ちては、その直下に置きならべた室外機を直撃しているのね。
ばだばだっ……ばだばだっ…ばだだ……。
有体にって、ダサいと。
そこへいくとその昔、日本家屋のプロデューサーたちはこの雨音までもを演出したと聞く。
雨どいを伝って落ちてくる雨粒を、土中に仕込んだ壺が受け止め、そこで鼓のような、琴のような音を立てるように仕込む。
そういや風鈴も、そんな感性の産物ですわな。
一方現代ではエアコンの性能の向上には熱をあげても、あの室外機のやぼったい音どもをどう処理するかなんてことにはいささかも配慮しない。
ばかりか室外機のデザイン自体、なんなんでしょう。
まるで進歩も工夫もありません。
注文住宅だとかいって肩で風切ったようなデザインのでも、室外機ばかりはあのままだ。
どうにもなんないんだ。
せっかく四季のある国なんだから。
して、風雨雷雪に揉まれて生きるんだから。
そういうとこだぞ。
☾☀闇生☆☽