「あのお。女装して行ってもいいですか?」
閉店間際に出没したい旨、電話にて問い合わせいただく。
あ。は、はい……。
何度目だろう。この手のアポイントメント。
しかしどうしてだろう。店側の許可を得たがるのは。
いわずもがなな問い合わせをあえてしてくるあたり、あやしい。
どこか共犯を迫られているようで、よからぬ想像をしてしまうではないか。
了解の言質をとったとばかりに、やりたいほーだいにするんじゃなかろうか。
そもそも男装だろうが女装だろうがコスプレだろうが、遭遇者の血圧におびただしい作用を起こす危険が予測されない限り、断るわけにもいくまいて。
そこんとこの査定基準は常日頃とかわらないだろう。
ここもそこもあそこもどこも、
そのことごとくが日常と地続きなのであるからして、
日ごろ同様に自分の責任で行動すればよいだけなのだ。
「ねえ。何着ていこうかしら」的な、
淡くてすっぱい共依存関係でもないのだし。
ざっくばらんに言って、うちは商売に影響しなければいいのだよ。
もしや丸出しで現れるわけじゃあるまいな。
んで、
ハッピーならば、なおのこと良いわけさ。
曰く、
「パートナーの女王様の命令なんですけどお」
うそつけ。
じゃあ、女王様ごと来いっつの。
コンビで来いっつの。
なんなら出囃子であらわれて、ネタでもやっていくがよい。
「コント、SM倶楽部にて〜」とかね。
☾☀闇生☆☽
追記。
結局、今回はあらわれませんでした。
おじけづいちゃったのかしらと。
それはともかく苦い思い出がありまして。
某エロ本社が取材に来て、
店内でのモデルさんの撮影の許可を求めてきて。
別にどうぞ、とゆるしたら、ほぼAV撮影かのような展開になってしまって。
おいおい、と。
聞いてねえぞと。
もおね、やっちゃってんだもの。
くんずほぐれつに。
慌てて制止して、お帰り頂いた。
許可した以上は共犯関係になってしまうじゃないですか。
たまたまお客さんがいなかったからよいようなものの。
シャレにならない。