あんなまずいのを、
なんでまた並んでまで食おうとするんだか。
と、
ラーメン屋の軒先にできた行列をあごで指し、彼は言った。
まもなく吸い終わろうという煙草の火を新しく咥えたのに点けかえると、その日三本目の缶コーヒーを飲み干して、また首をかしげる。
こいつらの味覚、理解できねえ。
うううむ。
タールでとっぷりとコーティングされた舌で、うまいのまずいの言われても、うむ。
どうなんだ。
チェーンスモーカーの缶コーヒー依存てのは少なくないね。
身近なヘビースモーカーが煙草をやめたとき、同時に缶コーヒーもやめていた。
クリアなべろには、一日にそう何本も飲めるしろもんではないのだ。
あの甘ったるさったらない。
なので彼らは、概して大味なものを好む。
と、大上段から決めつける。
えへん。
かくいうあたしゃ煙草をやめてン年である。
であるにもかかわらず、
仕事でそんな方の車に一日同乗するはめになったのだ。
だもの、それくらいは言わせておくれ。
翌日になってもくらくらするほどだったのだし。
あたしゃ隣で吸われてもまったく気にしないクチなんです。
んが、
さすがに密室で長時間というのは、つらいっす。
気ぃ使って少し窓を開けてくれてはいるのですがね。
☾☀闇生☆☽