壁の言の葉

unlucky hero your key


 連日、談志のCDを聴いている。
 『ひとり会』の初期。
 若くして完成していながら、
 やがてそれを解体し、
 おしげもなく壊し、取捨して、
 ひたむきに再構築をつづけ、
 晩年はいかにして子供のように自由に表現できるか、
 それを執拗に探求した。
 彼の言葉でいうところの、イリュージョン。
 という名のひとつの境地。
 それはまるで、
 子供のころにすでに巨匠顔負けの画力でありながら、
 晩年にはいかに童心で描けるかを追求したピカソのごとしである。
 

 知らずに見るとただの稚技。


 初期の談志から順におっていけば、
 あたしのようなシロートにも、
 そんな闘争の足跡が垣間見えておもしろい。
 

 立川志らく曰く、
 昭和の名人たちをSL機関車だとすれば、
 正統派の志ん朝はその面影をのこしたブルートレイン
 そこへいくと談志は新幹線である、とのこと。
 (全身落語家読本/新潮新書)


 残された記録はあまりに膨大で、
 とてものこと全てを網羅することはできないが、
 すこしずつでも集めていこうと思う。




 ☾☀闇生☆☽