壁の言の葉

unlucky hero your key

 あら?
 羽根?


 見上げればふわりふわりと白やグレーの羽毛が舞い降りてくる。
 曇天の空に、
 それらは溶け込んで際限なくつづくよう感じられた。



 走れ、フォレスト! 走るんだ!



 立哨場所をかえてみた。
 すると、
 向かいの民家の屋根の上でカラスがハトを啄んでいる。
 よってたかって余計な羽根をむしり、
 取り除いて、
 我先にと肉にありつこうとしているところだった。

 
 なるほど、
 連中は街の死骸の掃除屋としての役割もはたしているのかと、
 てっきりそう思いきや。


 今朝、
 路上でカラスがハトを襲撃しているところに遭遇。
 遠くからは、うっかり交尾中かと、
 それはそれで微笑ましく思ったのだが、
 自転車で近づいていくと、カラスが逃げ、
 そこに瀕死のハトが一羽残された。
 かろうじて動く片翼を漕ぐようにあおぎ、よたよたと路駐の車体の下へと逃げ込んでいく。




 それでも生きようとするし。
 食おうとするし。 




 我々が勝手に、
 一方を不吉の象徴としようが、
 他方を平和の象徴としようが、
 んなこた関係なく生きていくし。
 んで、死んでくし。



 ☾☀闇生☆☽