ふだん、
シリーズもののテレビアニメを観ないからなのだろう。
田舎っぺだからなのだろう。
時間枠を埋めるためと思われる余計なシーンやエピソード、
ウケをねらったポーズやキャラや、
もったいぶったギャグに疲れて、
というより、このおっさん照れてしまって、
何度も挫折しかけた。
なにをって、エウレカセブンをである。
少年のころから心はおっさんであったあたくしとしては、純然たる少年と美少女の、はじめて会ったときから僕は君をなんたらかんたらについていくよーな知力体力は、
すまん、
残念ながら持ち合わせてはいない。
と思っていた。
それが、
ここのところ立て続けに泣かされてばっかであーる。
実のところ、
ここで描かれる恋とか友情とかの横のつながりに対して、
師弟とか、教祖と信者といった縦の関係に魅力を感じられなかったのだな。
横の関係というものはワタクシ的である。
これは表現しやすい。
問題は縦。
この物語の場合、
月光ステイトというあの狭いコミュニティが舞台になる以上、
主人公にとっての目の上のたんこぶ役を担うホランドというキャプテンがカナメになると、あたしゃそう睨んだ。
縦
は
公
的
な
関
係
で
あ
る。
それが沖田艦長的に存在するのか、
ゲンドウ的にやらかすのか、
はたまた赤ひげなのかメーテルなのかは知らないが、
ともかくも伝説の男として登場した以上は、そういう役回りであるはず。
みんな仲良くお手手つないでちいぱっぱではいかんでしょ。
人が集まれば誰かひとりは権力者にならねばならぬものなのだ。
して、
そんな縦方向に働く公的な、
たとえば見栄や意地やプライドやカリスマが存分に効いていてこそ、ワタクシ的な弱さが光ると。
等身大の弱いおっさんとしてのホランドが活きると。
その弱さに関しては横の引力でたやすく表現されるのだし。
実際、されてもいて。
男の内面を、
つまりがワタクシを吐露すればよいだけのことである。
だからこそ対比として縦の力をまえもって示しておく必要があるのだが。
縦が効くまえから横なのよ。この作品。
なんか学級委員とか、
部活のキャプテンレベルのうるささでは、あの壮大な話を持ちこたえることはできないって。
あと十歳、おっさんにしても良かったのではと思う。
その方が少年と少女がより引き立つし。
まえにもここにかいたが、
エンタメではやたら未来を美化する。
それはもう無責任に、ことさら抽象的にやらかして丸投げにするものだ。
んが、
少年の未来はとどのつまりおっさんである。
少女の未来はおばはんである。
ならば、
かっこいいおっさんとおばはんなくして少年少女の未来はないだろうに。
宮崎アニメが広く受け入れられるのは、そこのところをぬかりなくおさえている点だ。
(無論、それのみが魅力ではないが。)
おそらくレイ&チャールズの夫婦でそれを補おうとしたのかもしれないが、
やっぱ若いわ。
ホランド同様に喜怒哀楽を表情に出し過ぎる。
成熟が描かれないと、
少年たちの未熟の輝きは増さないのだな。
それにあれはひとつのエピソードだから……。
通底する関係として、それを作っておかないと。
DVD、あと一枚。
また泣くんだろうなあ。
ああ、しんど。
☾☀闇生☆☽
その、
縦と横の交点にこそ、
人の個は現出される。