古き良き保守の生活を、帰化した元外国人が体現しているのがいい。
説教臭さが、それによって希釈されているし。
といって、
彼女は純日本風の生活を自らに強いているのではなく、
ごく自然に、
祖国と日本、ふたつの風土と、
それぞれに脈々とつちかわれてきた慣習の知恵のなかに生きているわけだからして、
西洋文化(おばあちゃんにとっての祖国のそれ)の取り入れ方に無理が生じることがない。
それは一見、
何の変哲も変化もみられない質素な生活様式にみられる。
んが実際に体験してみると、
さながら新陳代謝のように、静かなる躍動を繰り返しているというわけ。
保守とは本来そういうことだ。
読み手の日本人は、
そんな元外国人の生活を通して自分たちを客観することにもなる。
主人公まいの思春期特有の排他的な視点と感情的な思考。
そこへ対峙するおばあちゃんの、
自然や共同体、つまり生をありのままに受け入れる態度との対比が、映えていた。
児童文学、だという。
せっかくの夏休みだし。
どうぞどうぞ。
☾☀闇生☆☽