折も折、
ブックカバーもせずに『ノルウェイの森』を読んでいる女のひとを、電車の中で見かけた。
そのふたつ隣の席では、
眉毛の剃りあとも青々としたアメカジの若者が、これまたブックカバーもせずに『罪と罰 後編』の後半を、それも神妙な面持ちで読み耽っていた。
本はこっそり読め、
とはたしか『葉隠れ』の言葉だったか。どうか。
ようは見せびらかすなということだったと記憶するのだが。
なんにせよある意味、無自覚の、という意味で対極である。
仕事帰りに立ち寄ったいつものコンビニ。
ふと見ると、店員がみなサタンの三角帽をかぶっているではないか。
もとい、サンタの三角帽。
ああ、今年もこの季節になったのだと、闇生は思う。
んが、
例によって例のごとく、顔が死んでいるのだな。残念なことに。
なんだろ、この罰ゲームのようなやらされ感は。
でもってこちらの胸に沸々とうずいてくる、おかわいそうにという偽善感。
けどこれは上記とはまったくもって異質で、自覚された羞恥なのであーる。
つってもコンビニのサンタたちよ、
この季節に、あからさまに独り酒な買い物をしていくのもまた、とてつもなく恥ずかしいのだ。
と、
えらそーに感謝しておく。
☾☀闇生☆☽
そういや当時『ノルウェイの大森』という装丁までパロったのがありましたな。