昨日の明け方の濃霧はたまらんかったなあ。
ねえ。
あの白い闇の彼方を、得体のしれないクリーチャーがちらっと横切るんじゃないかと、あたしゃどきどきしておきました。
S・キングの『霧』の世界っす。
それはさておき、
サン=テグジュペリの『夜間飛行』を光文社古典新訳文庫で再読した。
最初に読んだのは十代のおわりだったか。
当時はお勉強、という姿勢であたったからなのか、ほとんど記憶にない。
けどいまこの新訳で読むと、ぐんぐん沁み渡ってくるのだな。
特に飛行機乗りたちを統率するリベールというひとりの男の孤高に、してその孤独に、痛く感動する。
むろん新訳っぷりも、いいのでしょう。
ぷりっぷりしているのでしょう。
ジッドの序文を、あえて巻末にしたその配慮も、まんまと大当たりしてまして。
訳者が心がけたという静謐さと簡潔さがページの隅々まであふれかえっていて、美しい。
それはもう峻厳なまでに。
できれば、たとえば江守徹とか森本レオになりきって音読する。
んで行間を嗅ぐ。
そんな召しあがり方がお薦めである。
☾☀闇生☆☽