お尻ばっか見ないでよっ。
夕暮れの駅前通り。
バイトの帰り道。
少女のような少年に、
少年のような少女の声で、ぶしつけにそう言われたのだが。
はて「ばっか」とはなんぞやと。
おいおいおい。
なんと、ひと聞きの悪い。
ケツだけはでないわい。
そこに「にょん」とばかりに露わにしてのけた生脚だって、
膝小僧の心細げな佇まいだって、
か細い腰骨からヘソ周りへの曲線だって、
太ももの、むんっ、と張った我がまま具合だって、
首筋から、そのビミョー怒った肩へのラインだって。
手首から指先への均一且つ綿密な皮膚感。
爪とささくれ処理のやっつけ加減。
して、その、のど仏だっ。
加えて、あつい胸板に薄い乳房の、この高温多湿の風土に案の定凹まされちゃった背筋のへたれ具合だって、あたしゃぜえええんぶ、見ておりますわいと。
そりゃ、があっつりと、
記憶のフォルダに収納しましたのですぞと。
できうる限りの『頑見』の比較級、最上級でもってだな、
背中にも目があるんだ、お母さんは、と。
おらおらあっ。
なにおおおっ。
と、
わけわからん憤りの真っただ中で、目を覚ましました。
本当の意味で、目を覚ませという話である。
☾☀闇生☆☽
明け方に『アメリカン・ギャングスター』を観る。
背中の目で。
まあ、あれだ。
我をわすれるほどの映像美はなかったものの、
堅実で、
良質な一品であることは、間違いナス。
感想は、後日書くかもしれない。
書かないかもしれない。
今日はもうおねむかもしれない。