たとえば、
鬱蒼たる鎮守の森の奥深くに、神社があって。
むろんそこには歴史ある御神木が、隆々と根を張り、幹をみなぎらせて、空を覆っているはずなのだが。
時代なのか、
はたまたこれもまた淘汰なのか、
道路が、
そしてそれに伴う街が、その聖域を貫通することになって。
森は伐り払われて、
社は丸裸になり、
んが、
せめて、
せめて御神木だけは、
などという高揚が民意にあったかどうかは知らない。
しかしケーピのバイトの通勤で、そんな光景を目の当たりにするのであーる。
真新しい舗装の歩道の、そのど真ん中に、
ぶっとい古木が、
それだけがどっかりと不自然に残されている。
なんだろか。
このありがたみの無さは。
身も蓋もないことだが、雑木林や森あっての御神木であったりするわけで。
あるいはイントロあってのサビだろうし。
それはつまり国民あっての、国王でもあるのだろうし。
さながら前戯も共通概念もすっ飛ばしにして、いきなり日常にモロダシをつきつけられたセックスような、
そんな味気なさ。
体温の低さ。
社も、
交通の便を気遣ってか、排ガス臭い国道沿いである。
ハナからモロダシなのである。
モロ、出ちゃってるのであーる。
服あっての、
または下着あっての、裸ではなかったのか。
のかっ。
ダイジョブか? 俺。
ともかく、
今日のバイトは、こないだと同じ現場。
けど、
班長が違ったので、集中砲火はなかった。
あのときはあれもこれも全部班長があたしにやらせようとするので、あぶれたベテラン隊員が、
「じゃ俺、何やればいいの?」
と、さりげなくフォローをくれるありさまであり。
いやなに、
ヒトに好かれないのは今に始まったことじゃないのよ。
ということはつまり、原因は自分にあるのだな。
それを天性と呼ぼう。
呼ぶもんか。
つったって、呼んでしまう。
夕刻の風が、嬉しかった。
☾☀闇生☆☽