ケービで現場をわたり歩いていると、腕のいい職人さんというのが少しずつ見えてくる。
いいチームは実に能率的に動くし、
リーダーが常に全体を見渡して声を出し、安全に気を配って率先している。
つまりは常に整理整頓ができているということ。
それが能率と安全という仕事のできる環境を作っていると。
いわずもがな、作業帯の中がきれいなのだ。
そういう方向に張り巡らされた神経は、むやみに音を立てないことにつながるし。
さらには仕事の丁寧さを支えてもいて。
たとえば作業員の通り道に落ちたバンセン(針金)の切れ端。そんなのも見つけるたびにある程度まとめておく。
どうせ最後に片づけるから、という考え方はしない。
だから休憩もすみやかにとれるし、帰れると。
そんな職人さんは、道具や作業着もこぎれいにしているもので。
これ、たぶん他の職業にも共通するよね。
調理場や、
事務机、
録音スタジオ、
あるいはパソコンの、
とりわけデスクトップやドキュメントの有り様などに。
仕事が雑な現場は、やはりその辺の所が粗いのだ。
して、ちょっとした事故や怪我がやたらに起こる。
それがシロート目にも露骨に現れるのが生コン車なのだな。
ミキサー車と言おうか。
いやあキレイ好きさんが実に多いのね。
作業柄、そう求められるのだろうけれど。
生コンに汚れる個所だけではなく、ちょっとした隙を見てはすぐに車体を拭き始める。
ぴっかぴかよ。
ぴっかぴか。
今日の闇生は数社取り混ぜて計十四台の生コン車を誘導した。
けど、一台を除いてすべてが輝いていたもん。
などとのたまいつつ、
自分の部屋を見渡してみる。
なんだろ、この雑然とした佇まい。
VHSの山、
文庫本の海、
漫画の城壁、
ゲームとDVDの街並み…。
はあ。
あらま、
もうこんな時間。
眠らねば。
☾☀闇生☆☽
よくやってくれると現場からおほめの言葉。
ありがたい。
だから早めにあがらせてあげると。
「よくさ、何もやらないガードマン、いるじゃん」
そういうやつには、きっちり時間まで居てもらう、とのこと。
でもね、
何もやることのない現場というのも確かにあるのよ。
目立つ制服で現場の前に立っている。
それだけで注意を促すことになり、もろもろの抑止力になると。
はたから見れば楽ちんそうなのだろうけれど、性分的なものなのか、あれほどつらいものはないのだぜ。
追記。
今、ケービの休憩中。
現場が近くだったので帰って来たのだ。
マンション外装工事現場での居住者の誘導。
しかしあれだね、
安全な回り道よりは、危険な近道を選びたがるのね。人って。
ちょっとだけ、とか。
すぐだから、と。
あぶねーあぶねー。
利便性は、安全あってのものなのですよ。