注文しておいた折りたたみ自転車が届いたので、さっそく試運転。
休日だが現場までの道を覚えておこうと、一時間かけて北上してみた。
これがさあ、思っていた以上にクッションが悪くて、ケツがいてえのなんのって。
つくづく段差というものを思い知った。
それでもどうにかこなしつつ、無事現場に到着。
近くの公園のベンチでメシに。
陽だまりにハトが群れていて。
ママさんが、四歳くらいの娘と鬼ごっこをしていて。
「まてえええっ」
のどかな昼下がりに、逃げ惑う子供の声がこだましていた。
ああ、なんと平和な。
そう思いつつサンドイッチにくらいついたその瞬間だった。
逃げていた女の子が、目の前でついに捕まった。
「うわぁぁぁぁぁ゛」
とたんに号泣である。
どうやら追ううちにママさん、ちょっとムキになってしまったらしい。
子にしてみれば、大人の夢中の形相は、グロテスクである。
つまり娘は本気でママに恐怖していたのだった。
それはともかく、サンドイッチをパクつくあたしの鼻先に、号泣する幼児だ。
「なんで泣くのっ」
泣きやまないんだ。
でもってママをぺちんっと叩くんだ。
「なんでつかまえゆのっ」
ママさんも我に返って「ごめんごめん。でも泣かなくったっていいじゃない」。
てか、あたしの前で、やめて。
表情に困るわ。
好々爺然とした笑顔でいるしかあるまいて。
幼児にとって親は世界そのもの。
恐怖も平穏も、多様にひしめいてそこにある。
にしても、ケツがいてえ。
☾☀闇生☆☽