壁の言の葉

unlucky hero your key


 睡眠時無呼吸性症候群(SAS)の疑いあり。
 そう己を見切って専門医の戸を叩き、先日検査入院を済ませた不肖闇生なのであるが。
 今週になって、やっとそのデータの解析が完了したという。
 なので、さっそくその結果を解説してもらおうと、雨のなか病院に出かけたのであった。
 結果はというと、
「ははん。やっぱ止まってますなあ」
 というところ。
 呼吸止まってますか。やっぱ。
 けれど、自宅での簡易検査のときと比べると、
「おもったほどは止まっていませんなあ」
 どないやねん、と。


 眠りの深さを四段階にわけると、あたくしは浅瀬の二段階あたりをうろりちょろりとしている模様。
 よって、深海に達するぐっすり感はほとんどなく、竜宮城へ至るレム睡眠もわずかしか得られていない。
 全体的に無呼吸までは至らない弱呼吸が目立っており、止まりかけのゼンマイ式人形のようなことになっている。
 ようするに闇生は、波打ち際で止まりかけているカラクリ人形なのだ。
 これは無呼吸界での幕内や十両とはいえず、さしずめ序二段と言えよう。
 だから大関クラスの呼吸を扶ける酸素マスク(CPAP)を必要とするほどではない。
 おそらくはマウスピースで改善するのではなかろうかと。
 

 ほっとした。


 というのも、酸素マスクが必要ともなれば、それのリースやメンテナンスの代金がこの先ずっとついてまわるわけで。
 なんか終わりのないローンのようでさ。
 でもって、毎晩酸素マスクして眠るなんて、
 イヤじゃん。
 そこへいくとマウスピースはお手軽よ。
 持ち歩けるし。
 あいーんの形に顎を固定して、眠るだけ。
 浅瀬から深海へと一直線に潜って、
 竜宮の妖艶な美女たちと、
 あんなことや、
 こんなことを、
 あいーんの顔で愉しんで。
 あいーんの顔でわらかして。
 
 
 最後に、それを作ってくれる歯医者を紹介してもらった。
 ああ、ここで作ってくれるのではないのだね。
 帰り道。
 立ち寄ったコンビニで不覚にもくじを引かされる。
 お買い上げ700円ごとに一回ひけるというものだ。
 不足したものをまとめて買ったので、3回も引かされたよ。
 うち2枚があたりで、
 ひとつがアイスノンのスプレー。
 ハンカチにふきかけて額に当てたり、汗を拭いたりと、あまりあたくし的には必要性を感じないもの。
 第一、人前でそんな王子なふるまいをする度胸を持たぬし、キャラでもないわ。
 もうひとつがゴムのコーティングがしてある、軍手。
 繰り返す、
 くじで軍手。
 ムレにくく、滑りずらいのだと。
 するってえと、なにかい。
 冷やして、
 握って。
 そんなプレイをお望みかい、と。
 握って、握って、冷やして。
 握って、冷やして。
 冷やして、冷やして、冷やして、握りかけでまた冷やして。


 ええ、 
 疲れてますとも。
 なんだかとっても眠いんだ。



 







 ☾☀闇生☆☽

 
 松本人志ピクミン好きと知って、ちょっと嬉しくなっちまったぜ。