都・市民税なんていうものは、前年度の収入の比率として割り出されるのですな。
不肖闇生、去年だってこれといって威張れるほどの年収ではなかったと思う。
んが、
長年勤めきたわけであるからして、
気づけばそれなりのものをそれなりには頂いているわけよ。分相応に。
いや、むしろそれ以上だったのだと、今になって気づくのだな。
というのも、このたびの失業をふまえてだ、いざ身の丈の求人情報を漁ってみるとどうだい。
嫌やでも思い知るよ、
その当たり前にいただけていたありがたみというものを。
「地べた掘ったって、一文の銭も出てこねえ」
これは落語の『鼠穴』でのセリフだ。
財産を使い果たしてしまい、田舎から出てきた弟。
江戸で大旦那となっていた兄にカネを無心するが、なんと貸してくれたのはたったの三文。
商売の元手に――、と断ったうえでの三文だ。
文字通りの二束三文で。
なんだこれっぱかし。
なめやがって。
弟は逆上して銭を捨てようとする。
しかし彼はそこで思いとどまってこの言葉を吐くのだな。
そして、それを元手に這い上がっていくという――。
ちなみにこの噺、立川談志のが絶品かと。
DVD『笑う超人』でのおまけ映像のが良かったなあ。
この特典映像だけが、ライヴ収録で。
しかも、爆笑問題の事務所主催のライブ・イベントなのだ。
よって、いつもの談志の独演会とは客層が違うから、どこか家元のテンションもぴりっとしてて貴重よん。
それはともかく、
通勤距離だの、
終業(閉店)時間と終電の問題だの、
あるいは始業(開店)時間と始発の問題だの、
むろん決定的なのがなんといっても年齢制限の壁だが、
これが一番痛いが。
そこへきてスキルやら、
資格やら、
経験やらと。
ただ意欲だけではどうにもならないことも社会にはあると、知った。
そこへきて税金までがねえ、
来ますか。
来ますよ。
要は後払いということですよ。
大幅な減収となる今年に、来るのですよ。
地べた掘ったって一文の銭も出てこないが、その地面に住んだ分は払わんといかん。
やむなしだ。
これまで、親元のフリーターたちによく「ちゃんと自分で税金払えるようになれ」と説教ぶってきたのだから、泣きごとはいかんのだ。
めっ。
来年のことを言うと鬼が笑うというが、去年のことを言われちゃ笑うしかないのだし。
かててくわえて長年の立ち仕事で、ときどき腰がにっちもさっちもいかなくなる。
それが忘れた頃に、がつんと出てくる。
これは左ひざの古傷をかばう癖が原因で。
どうやら右に傾いて立ってしまうらしいのだな。あたくしは。
あられもなく右傾化の反動である。
よって、続けている朝のストレッチは別にマッチョを目指そうというのではなく。
これの再発の予防なのね。実は。
かつ補強。
腹筋、背筋、ケツ筋と、柔軟体操。
けど、こういう爆弾を抱えての転職となると、ますます弱気になるねえ。
なりますよ、それゃあ。
ましてや今回の精神的凹みは、その再発とも重なっているのだから。
いや、
日々の鍛錬のおかげで、これくらいで済んだと。感謝しておこうか。
ありがとう。腰。
あ。
それもこれも自業自得という突っ込みは、どうかご勘弁を。
充分に身にしみてますから。
へい。
で、
今日は月曜日。
街に求人情報がどどどっと出回る日。
けどね、街角の求人フリーペーパーなんか、あっというまに消え去るんだぜ。
知ってた?
なんせ、新年度だもの。
そんなこんなの輝く若さと職を奪い合おうっていうんだから、たまんないね〜。
なにはともあれ、いい機会だと、
する。
まずは孤独を知って、友のありがたみを知ったし。
古い友が連絡をくれたし。
それはそれは、ありがたし、だし。
あいもかわらず誰のためにもなれない自分が際立ってしまったが、そこはひとつ、ありがたし、だし。
んで、
失業で、職のありがたみも知った。
嫌々呑んでいた酒をやめて、本当にやりたいこともはっきりした。
それで食えるわけではないけれど、拠り所にはなるぞと。
どうだいっ。
休憩時間に飲み屋街を通った。
のれんの下で、おっさんたちが勘定の払いを奪い合っていた。
「いやいや、○○さんは失業中なんですから、ここはわたしが」
「なに、あなだたってそうじゃないですか」
だっはっはっはっはー。
笑ってました。
☾☀闇生☆☽
先輩たちは、さすがです。