壁の言の葉

unlucky hero your key

 と言いましょうか。
 あるいは、ボケとツッコミ。
 はたまたSとM。
 +と−。
 ふと気づけば、
 我々はそんな関係をやりくりして、代わりばんこにつないでいっているのですな。
 日常の対人関係を。


 それはおカネをやりとりする現場でも、同じでして。
 

 その人の性格がそこに露わになる。
 といっても、
 そんな大袈裟なことじゃないんです。
 たとえばコンビニ。
 今しも代金を店員さんに渡そうという、その刹那だ。
 大概の場合、お金をパスする側の手は、甲を上に。
 んで、キャッチする店員の手はこれとは逆に、甲を下にするものです。
 

























 凸と凹の、
 補完しまっせ、てな関係。
 ところが、これをこうキャッチされると、どうでしょ。







































 なんかね。
 なんだかなあ、でしょ。
 なんだか、なんだかなあ、ですよ。
 これね、店員側にもそう感じることがあるのだわ。
 ときどきいらっしゃるんだ。
 お釣りをパスしようとすると、同じような手の恰好で受けられる。
 ましてや小銭だとその違和感たるや、ただならないわけで。
 いや、べつに、なにが悪いのかと言われても、なんか居心地が悪いとしか言えないわけで。
 てか、そんなことはオクビにも出さずに接客するのだが。
 ちょっち想像してみて。
 なんかこう、
 凸と凸、というか。
 +と+、SとS。
 ナイフとフォーク、
 かと思っていたらナイフとナイフ、みたいな。
 ううっと、心ひそかにたじろいでしまうのだわ。



 これはもう、性分というものでしょう。
 他にも、
 紙幣を必ずチョキで受ける人とか、
 レシートをまるでマトリックスの銃弾のように忌避して逃げる人。
 おなじくレシート入れに戻さず、手渡しで返していく人とか、
 お札は全部、屏風のようにカウンターの上に立てる人、
 賽の河原の石塔のように、ていねいに小銭を積み上げる人、
 お札の番号を一枚ずつ確認して出す人、
 でもって「やっぱこれはやめる」と、同じ額の別の紙幣と交換する人、
 んが、「やっぱ、やっぱ、こっちにするわ」と結局同じお札で払う人、
 ひとそれぞれにおカネの受け渡しには癖があるようでして。
 

 かく云う、あたしにも、
 きっと自分では気付かないおかしな癖があるのかもしれまへん。
 はい。
 そりゃ、あるでしょ。
 

 

 そういや、
 ガマ口を開いて、
 お釣りはこの中に返せとばかりに小銭入れを差し出されるのも、
 うん、
 苦手だな。
 会員カードを口にくわえて差し出す人も、同じくだ。
 レンタルビデオ屋時代に、ちょいちょい出くわしたものです。
 
 




 ☾☀闇生☆☽


 スイカなどの電子マネーが普及していくと、こういう光景は、減っていくのか。