というわけで。
とはどういうわけなのか、
そう、年が明けた、のである。
暮れたら必ず明けるものなのだ。
どんなに途方に暮れていたとしても、きちんと明けるのが日本の新年。
それだけで、めでたいし。
ありがたい。
かく云うあたしは、おめでたい勤務中の身なのである。
なんせエロDVD屋なのであるからして。
目の前のモニターの中では、なんかむっちりとしたお肉が、ぷるぷるぷるぷるしているところ。
ぷるぷる中だ。
勤務地は住宅街でないから、土日祝祭日は閑散としている。
安酒と、路肩のおゲロのにぎやかな、ここはおっさんの街なのだ。
であるからして、これまで元日と二日はお休みをいただいてきた。
けれども、この不況ではそうも言ってられないと、単独での勤務でござるのよ。
うん、
でもやっぱあれですな。
暇ですわ。
メーカーさんも休んでいるから、入荷すらない。
発注もできない。
今日明日はひたすら売り子だ。
そこへいくと、アキバは賑わっているようで。
いろんな店舗の前に行列やら人垣ができていました。
ガンダム福袋ですって。
うちの店も昔は福袋をやっていたのだそうで。
けれど、エロっていうのは極端に細分化されてますでしょ。
たとえば、S女好きのためにその趣向のソフトを集めて、
『ミストレス・パック』
なんて福袋を作っても、まず駄目なんだな。
ビザール臭のぷんぷんする女王様系がお好きな人もいれば、女子高生に踏みつけられたい系の人もいるわけです。
でもって、女王様なら女王様系のなかで、その装束やら、責めやら、スタイルやらで、まるで違ってくるの。
黄金オッケーか否か、とか。
責められる側も女、男、女装子と、それはもういろいろと別れる。
事実、実験的にはじめた福袋は、店を出たとたんに開封され、選り分けられて店頭に廃棄されてあったのだとか。
無残よ。
M男にすてられた女王様のキメ顔って。
道端できりりと睨んでんだからさ。
黒光りしたペニバン装備でね。
大人のおもちゃセットなんか、もっと悲惨だったらしい。
ホール系のが箱から出されてマッパにされて、遂に処女のまんま野ざらしだったとか。
いや、お客さんに非はないだろう。
だって、わかるし。
その、自分のストライクゾーンを5ミリでもそれたら、ゴミだぜという…そのぉ、なんだろか。
美学。
ならば、それをわざわざ持ち帰るのもね。なんだかね。
ぷるぷるぷるぷる。
これはあれだ、
ドラム缶を抱かされた女教師の、わがままなおケツだね。
そういえば、年末は中古の買取が増えた。
すでに飽きてしまったり、外したのを大掃除がてらに処分してしまおうというのでしょう。
ならば、地域のゴミに出すよりは、リサイクルにと。
エロエコだ。
でもね、押入れのよほど奥に仕舞い込んでいたのか、稀にすごいのか持ち込まれるわけですよ。
この世界、五年、いや三年も経てば、クラシック扱いである。
だいたい女優さんの髪型とメイクにね、いかんともしがたい風雪の壁が。
まざまざと。
それでもまあ、できるだけ買取らせていただいてはいるのであるが、なかには買取り不可のものもありまして。
それはメーカーさんが、お得意の店舗さんに配布した全編サンプルだ。
これはパッケージのJANコードがつぶされたりしているので、一目瞭然。
内容は正規品と同じだが、そういうタダで出回ったものを買取るわけにはいかないし、売ってお金をいただくわけにもいかないのだな。
丁重にお断りしたら、そっくり店頭に廃棄されてありましたよ。
それも四十本。
どっかの店員の仕業だろうね、きっと。
捨てるにしても、うちから捨てれば事業系ゴミだから、有料になってしまうわけで。
もおっ。
それでも、ぷるぷるは止まらない。
断じてぷるぷるだ。
なんせドラム缶ごと緊縛して熱蝋をたらすものだから。
先生ったら啼きながらそうやって、おケツを振るのだな。
昨日は昨日で寂しいおもいをさせられたんだ。
980円の特価品のね、
その値札をさ、
500円の、
これまた特価中古品の値札と貼りかえてさ、精算しようとするのだもの。おっさん。
しかもね、
その980円の値札をはがすときのペリペリ音を、懸命に咳き込んでさ、ごまかそうとするんだから、哀しいじゃないですか。
一部始終がばれてんのに。
見た目はこんなあたしよりもずっとご年配だから、余計に凹んだね。
ぷるぷるぷるぷる。
そうそう、
このぷるぷるだ。
今ずっと同じチャプターだけをリピートにしているのだな。
先週までは全編を通しで再生していた。
んが、ここ数日、これの観賞だけが目的で通ってこられる方がおりまして。
ええ。
顔をそむけて現れて、二時間ずっとよ。
かつ毎日。
なんかぶつぶつ言ってるし。
防犯カメラと店員を気にして、きょろきょろと。
んで、こまめに立ち位置を変えるのだから、はっきり言って挙動不審なのであーる。
だもんだから、
あたしの独断で上映はぷるぷるのくだりだけにさせていただいたのだ。
したら案の定、
今日もいらっしゃるではあーりませんか。そのお方。
けど、
同じシーンのリピートになっていると気付くと、首をかしげながら帰って行かれました。
いつものペースなら、閉店までにあと二、三回は来るでしょう。
ぷるぷるぷるぷる。
まったく、尻尾を振るわんちゃんみたいだ。
ところで今朝、死んだはずのi-PODを駄目もとでつけてみた。
したら、なんと息を吹き返すではないの。
それは朦朧と立ち上がったという風情。
映画『タンポポ』の、今際の際にチャーハンを作って息を引き取る母親のエピソードを思い出した。
ともかくも、おっしゃ、と。
うれしかった。
もうちょっと、生きてみそ。
な。
みそって。
生きて、もいっかい俺を救ってみそ。
そんな生かされちゃった闇生は、どうやら元日はこのまま、ぷるぷるちゃんとふたりきりで終わる。
あそうだ、ブログでぐらい言っておこうではないか。
のっけからこんなんですが、今年もよろしく。
☾☀闇生☆☽
シネマジの新作なのです。