あ。
忘れないうちに、ひとつ反省をしておこう。
彫刻の森。
帰り際にカップルに呼び止められた。
イケメンさんとのデートで、テンションの華やいだ女の子である。
「写真とってくださ〜い」
あたしゃデジカメを持たない。
押し付けられたケータイも部屋に置きっぱなしで、あろうことかカメラ機能がこわれてる。
ようするに、まったく撮り慣れていない。
「景色をバックに。ここ押すだけなんで」
へい。
うけたまわって、かまえてはみたものの、ためらった。
こういうときどういう掛声をするんですか。
いまでもやっぱ「はい、チーズ」なんですか。
そこはひとつおっさんらしくボケといたほうがいいのですか。
まよねーず、とか。
けちゃっぷ、とか。
ちーかま、とか。
ともかく、ベタに「チーズ」では一周回ってかえってボケになってしまうかもしれん。
そんなこんなでためらいつつ、同時に、もたもたしてるのもまたダサいと。
なにより、かったるそうに立っているイケメン氏に、そしてそこではしゃいでいるカノジョはんに、わるい。
ええい、ままよと「チーズ」式でシャッターを切った。
切ってしまってから、あ。
「ありがとうごさいま〜す」
カノジョはんが頭をさげながら駆け寄ってくる。
デジカメというのは、その出来具合がその場で確認できるのですな。
当然ですが。
手の中のデジカメのモニターに、残っている。
景色を背景に、とチーズ云々で頭がいっぱいだったもんで、すまん。足が切れていた。
やば。
うしろめたいので、
「これでいいすか」
と、示したのだが。カノジョはんは、イケメン氏がせっかちにも先に行きかけているので、
「いいです、いいです」
と。
確認もせずにカメラを受けて走り去った。
ううむ、
こっちもそそくさとそこを後にしたのであるが、どうなんでしょ。
やっぱ全身が入っていたほうがいいよね。
どうでもいい?
気にしすぎ?
うん、
でも、すっきりしなかったのよ。
一応、反省。
☾☀闇生☆☽