壁の言の葉

unlucky hero your key


 ああ、
 友だちがいないとか、
 ようするに人としてモテないとか、
 学歴だとか、
 見てくれとか、
 社会的にうだつがあがらないとか、
 なんだろ、
 犯人のそういうところに限っては、少なくともあたしよりは勝っている点が多いなぁ。
 しかも二十五歳て。おいおい。
 同僚たちとこの事件について雑談する機会があった。
 だが、会話のノリが、犯人のそれらコンプレックスの嘲笑にかたむいてきたときには、さすがにこの闇生、そんなわけで乗れなかったのである。
 正直、耳も痛かった。 


 でもね、
 友だち云々は、己の不徳が大きな原因ですから。
 と、はらをきめるべし。
 そうするしかねーんだ。もう。
 そこからだ。
 友だちがいないというハンデが、モテなさに輪をかけてくるから悪循環なんだけれどね。
 挙句、イタイ奴とかなんとか見限られんだけど。


 ゲバゲバ。


 連日、朝のワイドショーで、貧困にあえぐアフリカの人々のレポートが放映されている。
 不運にもエイズにかかった少女。
 その根深い偏見と周囲の無知によって、家族にすら見放され、誰にも接してもらえない。
 触れてもらえない。
 話してさえもらえない。
 目も見てもらえない。
 そういうのを本当の孤独と言うんじゃっ、こらっ。
 俺め。


 ☾☀闇生☆☽